研究課題
本研究では、本邦およびアジアの造血細胞移植レジストリデータにおいて、データ収集項目および症例報告書レベルのデータ構造に関する国際データ標準への準拠状況を海外レジストリとの比較を通して調査することにより、造血細胞移植レジストリの国際データ標準化に向けた課題を明らかにし、海外レジストリデータとの相互互換性を改善するとともに、移植レジストリを国際データ標準に準拠させるための技術的課題を明らかにし、メタデータを含めたデータベース設計の基盤とすることを目的としている。造血細胞移植レジストリデータのレギュラトリサイエンスへの活用や国際共同研究を加速させ、国際データ標準化のための知見を蓄積することが期待される。当該年度はアジア造血細胞移植レジストリが収集するLeast Minimum Dataset (LMD) のデータフォームにおける質問形式、項目、用語に関する調査を行い、electronic data capture (EDC)システムを用いて電子的にデータを収集するために医学的見地も含めて症例報告書におけるデータ収集項目の再検討と整理を行った。EDCシステムを使用してLMDデータを収集するためのデータ定義書を作成、項目の入力制御の定義を作成し、試験的にEDCシステムへの実装を行った。作成したデータ定義をもとに、収集データの各変数を国際データ標準であるClinical Data Interchange Standards Consortium (CDISC)標準に基づいてドメインの分類作業を行い、EDCデータからCDISC標準におけるStudy Data Tabulation Model (SDTM)のモデルへのマッピングを可能にするための準備作業を進めている。
2: おおむね順調に進展している
実績の概要でも述べたとおり、アジア造血細胞移植レジストリが収集するLMDのデータ形式をEDCシステムを用いて収集可能な形式とし、データ定義書の作成と試験的なEDCシステムへの実装を行った。データ定義をもとに、CDISC標準のSDTMモデルにマッピングするための準備作業を進めている。Therapeutic Area Standard (TAS)に未採用である造血細胞移植に特有な事項に関する検討が進んでいないが、新たなデータ定義の作成を含みデータ標準対応に関する準備が進んでおり、おおむね順調に進んでいる。
次年度は、引き続きLMDデータのSDTMモデルへのマッピング作業を進め、造血細胞移植レジストリデータの国際データ標準化における課題を抽出する。作成したデータ形式に基づいて電子的にLMDデータを収集し、SDTMデータに変換可能な箇所について変換作業を試行する。現在のCDISCで対応困難なデータ項目を抽出し、米国レジストリの手法を参考に国際データ標準化の方法を検討する。米国レジストリを含む国際データからアジアLMDデータへの書き出しの実証に向けて、課題を抽出する。
資料およびデータ入力補助のための人件費・データ処理用のパーソナルコンピューターの支出を予定したが、本年度データ入力作業が発生しなかったため、次年度以降に持ち越すこととした。
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