研究課題
本研究では、造血細胞移植レジストリにおけるデータ収集項目およびデータ構造に関する国際データ標準への準拠状況を海外レジストリとの比較を通して調査し、海外レジストリデータとの相互互換性を改善した上で移植レジストリを国際データ標準に準拠させるための技術的課題を明らかにし、メタデータを含めたデータベース設計の基盤を作成することを目的としている。今年度は、アジア造血細胞移植グループ(Asia-Pacific Blood and Marrow Transplantation Group, APBMT)レジストリがアジア各国からelectronic data capture (EDC)システムを用いて収集するデータにおいて、医薬品承認申請時の電子データにも用いられる国際データ標準であるClinical Data Interchange Standards Consortium(CDISC)標準のStudy Data Tabulation Model (SDTM)形式へのデータのマッピングを完成させた。さらに、昨年度に作成した米国レジストリが収集する国際データの形式からAPBMT レジストリが収集するLeast Minimum Dataset(LMD)データベースにデータを変換するプログラムおよび既存のLMDレガシーデータからEDCデータベースに変換するためのプログラムの作成に引き続き、今年度はEDCデータから研究者が集計に用いるために汎用性の高いLMDデータ形式に逆変換するプログラムを作成した。また、各国における移植実績数の疾患およびドナーソース別の年次推移を集計するためのツールを作成することとし、準備を行った。
3: やや遅れている
これまでに、米国レジストリがアジア各国のデータを収集するデータベース形式からAPBMT レジストリ形式へのデータベース変換と、APBMT LMDレガシーデータとEDCデータベースとを相互に変換するためのプログラムを作成した。各形式のデータを国際標準化対応させる準備が整い、レガシーデータからEDCデータへの変換を行った。次年度はこれまでに作成した基盤を活用したアウトカムの集計と、成果の発表を行う予定とする。
国際データ標準にマッピングを行ったデータベースから、移植アウトカムのさらなるアウトプットを目指す。国際レジストリおよび造血細胞移植分野におけるCDISCを用いた国際データ標準化における課題をとりまとめ、今後のデータ基盤整備に活用させる。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けて研究計画変更を行い補助事業を延長した。進捗にやや遅れがあり、当初今年度に完了する予定であった役務費を来年度初頭に使用する。当該年度に発表予定であった内容について、次年度中に学会発表および論文発表を予定し、発表費用と外国語校閲に使用する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
International Journal of Hematology
巻: 112 ページ: 841~850
10.1007/s12185-020-02972-0