研究課題
本研究は、造血細胞移植レジストリにおけるデータ収集項目およびデータ構造に関する国際データ標準への準拠状況を海外レジストリとの比較を通して調査し、海外レジストリデータとの相互互換性を改善した上で移植レジストリを国際データ標準に準拠させるための技術的課題を明らかにし、メタデータを含めたデータベース設計の基盤を作成することを目的としている。昨年度までにアジア造血細胞移植グループ(Asia-Pacific Blood and Marrow Transplantation Group, APBMT)レジストリのデータを医薬品承認申請時の電子データにも用いられる国際データ標準であるClinical Data Interchange Standards Consortium(CDISC)標準のStudy Data Tabulation Model (SDTM)形式へのデータのマッピングを行った。また米国レジストリが収集する国際データの形式からAPBMT レジストリが収集するLeast Minimum Dataset(LMD)データベースにデータを変換するプログラム、既存のLMDレガシーデータからEDCデータベースに変換するプログラム、EDCデータから研究者が集計に用いるために汎用性の高いLMDデータ形式に逆変換するためのプログラムを作成した。今年度はAPBMTレジストリがアジア各国からの紙ベースによるデータ収集からelectronic data capture (EDC)システムを用いた電子的な情報収集への移行を行った際にデータベースを作成する経過で生じた課題とデータセンターにおけるデータ統合上の問題点について考察し、CDISCへのマッピング結果について分析を行い、その結果を26回アジア造血細胞移植グループ年会におけるレジストリコミティーセッションで発表した。
3: やや遅れている
これまでに米国レジストリがアジア各国のデータを収集するデータベース形式からAPBMTレジストリ形式へのデータベース変換と、APBMT LMDレガシーデータとEDCデータベースとを相互に変換するためのプログラムを作成し、各形式のデータを国際標準化対応させる準備が整った。レガシーデータからEDCデータへの変換を行い、国際学会で成果の報告を行った。次年度はこれまでの成果について論文化を行う予定とする。
国際データ標準にマッピングを行ったデータベースから、移植アウトカムのさらなるアウトプットを目指す。引き続き国際レジストリおよび造血細胞移植分野におけるCDISCを用いた国際データ標準化における課題のとりまとめを行う。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けて研究計画変更を行い補助事業を延長した。進捗にやや遅れがあり経費を来年度に使用する。当該年度に発表予定であった内容について、次年度中に論文発表を予定し、外国語校閲に使用する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Transplantation and Cellular Therapy
巻: 28 ページ: 153.e1~153.e11
10.1016/j.jtct.2021.12.009