研究課題/領域番号 |
17K08915
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 達也 京都大学, 医学研究科, 講師 (00452342)
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研究分担者 |
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 研究公正 / 欧州 / 研究環境 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、欧州の大学間で構成された研究公正を推進するための活動グループであるPRINTEGERにて実施された調査研究のプロトコルをブリストル大学の関係者より入手し、日本語版への翻訳作業および倫理委員会への申請など調査研究の準備を行った。 PRINTEGERの調査研究は、フォーカスグループインタビュー形式であった。プロトコル内容によると、インタビューの対象者は、研究者と研究管理者を対象にした2種類の質問内容であり、研究公正の定義や研究公正を促進するための方策、環境、教育などの質問内容が盛り込まれていた。これまで日本では研究されていなかった分野の研究であり、また取り扱う情報が研究不正に近いこともあり、丁寧かつ綿密は倫理的な配慮なども見えた。日本語翻訳版の作成は、言語やニュアンスの違いもあり、読み替えを行うなど試験全体内容への影響も配慮にいれて、研究協力者とも十分な相談を行って完成させた。なお、プロトコルのみではなく、対象者への説明文書やインタビューの流れに関する書類も入手したプロトコルに入っていたため、同様に参考にした上で、説明文書やインタビューの流れも作成した。 また、倫理委員会での申請・承認を経て、学内の研究者を対象とした調査を実施するための準備を行った。具体的には、対象者リクルート方法の考案、フォーカスグループインタビューの流れの確認、インタビュー協力者との調整などを行い、インタビュー当日の進行のためのスライドの作成も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PRINTEGERにて実施された調査研究のプロトコルをブリストル大学の関係者からの入手に約3か月要した。先方での他国への配付につき、内部での承認を得ることに時間を要したためと思われる。また日本語版への翻訳作業を早急に取り掛かったものの、学内関係者との調整に約2か月、また施設の倫理委員会における審査に約2か月要した。年度内のフォーカスグループインタビューのパイロット試験を開始予定であったが、その後のスケジュール調整や対象者のリクルートなど慎重に考慮する事項が出てきたため、インタビュー協力者との実施に向けた調整を数回行い、次年度の実施がとなった。 従って、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
第3年度は、学内のフォーカスグループインタビューのパイロット試験を実施し、研究のまとめを行う。 1)早期に学内研究組織を対象に調査を実施する。またPRINTEGER における結果も早期より依頼し入手して、本研究結果との比較を行う。そして、これらの結果をもとに研究公正の汎用モデルの構築に取り掛かる。 2)これまでの比較調査や前向き試験の分析結果をまとめ、研究公正のポリシーや教育方針などドラフトを作成し、学内組織と連携を図りながら議論を進める。また、より実践かつ実用的な教育方法や簡単なツール、学内の管理システムなどを、これらを通して全体的な研究公正のモデルケースとして構築する。 3)これまでの研究内容の年内論文投稿、あるいは国内外の学会での発表など外部への情報発信に努める。 同時に、発信による外部からの批評・評価に対して分析する。更に、評価分析をもとに、次年度以降のステップ案を計画する。学内の環境整備の現状から、政府機関や大学連携などへも働きかけ、日本全体で研究公正の最適な環境の構想に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に実施を予定していたフォーカスグループインタビューに関しては、先方のPRINTEGERで行ったフォーカスグループインタビューのプロトコルが、PRINTEGER内で日本への搬出するための承認に時間を要し、またプロトコルの早急な日本語版への作成をしたものの、倫理委員会での審査にも時間を要した。その後に準備をしていたインタビューの年度内の開始が難しくなったため、インタビューの開催のために経費執行が次年度となった。一方、実施に向けて研究対象者のリクルートやスムーズな実施など準備を前倒しで進め、次年度早々に開催は可能な状況である。今年度の執行できなかった分の経費の執行は可能である。
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