研究課題/領域番号 |
17K08915
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 達也 京都大学, 医学研究科, 講師 (00452342)
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研究分担者 |
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 研究公正 / 欧州 / 研究環境 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、前年度の倫理委員会にて承認となったフォーカスグループインタビューを実施した。具体的にはグループ1(若手クラス)で5名、グループ2(中堅クラス)で5名、グループ3(教授クラス)で6名、グループ4(研究支援者)5名、グループ4(研究管理者)3名の合計5グループで24名の参加となった。インタビューの効率化を考え、事前にインタビューの質問内容や流れなどをまとめたスライドを作成し、当日は2時間以内にて実施した。インタビューでは様々な意見が得られ、またグループ間での研究不正や研究公正に関する違いなども得られた。全てのグループの共通意見として、研究公正に関する教育が不足している点や風通しのよい環境が重要であるという意見が挙げられた。一方で、今回は文系と理系の研究者が同じテーブルにて参画したインタビューであり、研究分野によって研究手法やルールなどに違いがあり、研究者同士で新たな気づきなども分かった。更にグループ間での地位や世代による研究公正の考えに差があることも分かった。インタビューはICレコーダなどで録音し、文字起こしをして当日の内容の詳細を確認することができる形とした。並行してデータ解析の準備のため、他の研究グループにより解析内容を参考に検討した。また対象者のリクルートにも苦労したため、当初予定であった登録期間や研究期間の延長のためプロトコルの軽微修正を行い、倫理委員会に提出した。今年度の目標である全てのグループでのインタビューは実施できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー協力者と主に準備を重ね、今年度よりフォーカスグループインタビューを開始したが、予想以上に対象者のリクルートに時間を要した。理由としては、研究協力者のネットワークのみでは研究者が限られ、また多忙な研究者を複数一同に集合してインタビューを行うには、1カ月以上も先の予定を組まざるを得ず、開催日時が遅れた。早めの参加依頼と日程調整が重要とわかり、その後の対応策として、学内にネットワークをもつ学術支援室の知人にも協力を要請し研究者への研究参加を募った。特に2020年1月にグループ4(研究管理者)の開催にあたっては、新型コロナウイルスの影響により、研究者参加が少なく、次年度に再リクルートの上、実施する予定である。 年度内のインタビュー終了を目標としていたが、上記の理由により、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究は3年間で終了予定であったが、諸事情により第4年度を行うこととなった。第4年度では、学内のフォーカスグループインタビューの完遂とそのデータ解析やまとめを行い、第3年度で未実施だった内容を実施する。 1)PRINTEGER における結果入手に努力する。入手出来た際には、本研究結果との比較を行う。そして、これらの結果をもとに研究公正の汎用モデルの構築に取り掛かる。 2)これまでの比較調査や前向き試験の分析結果をまとめ、研究公正のポリシーや教育方針などドラフトを作成し、学内組織と連携を図りながら議論を進める。また、より実践かつ実用的な教育方法や簡単なツール、学内の管理システムなどを、これらを通して全体的な研究公正のモデルケースとして構築する。 3)これまでの研究内容の年内論文投稿、あるいは国内外の学会での発表など外部への情報発信に努める。 同時に、発信による外部からの批評・評価に対して分析する。更に、評価分析をもとに、次年度以降のステップ案を計画する。学内の環境整備の現状から、政府機関や大学連携などへも働きかけ、日本全体で研究公正の最適な環境の構想に着手する
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度よりフォーカスグループインタビューを開始したが、予想以上に対象者のリクルートに時間を要した。目標である完遂までには至らなかったが、8割の実施ができ経費執行も順調に行った。しかし、新型コロナウイルスによる影響でグループ4(研究管理者)のみ対象者参加の不足が見られたため、次年度も再度開催して完遂の上、データ解析を行う必要が出てきた。新型コロナウイルスの目途が立ち、再開できればグループ4(研究管理者)の追加実施した上で研究のまとめ作業を行うが、もし目途が立たない場合にはこれまでのデータにてまとめ作業を進め、来年度内の研究の完遂とまとめ作業に努める。いずれの場合にも今年度の執行できなかった分の経費の執行は可能である。
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