研究課題/領域番号 |
17K08919
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
池田 正行 香川大学, 医学部, 客員研究員 (10242215)
|
研究分担者 |
嶋澤 るみ子 東海大学, 医学部, 教授 (00411083)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 医薬品評価学 / レギュラトリー・サイエンス / 医薬品情報 / 承認審査 / ドラッグ・ラグ |
研究実績の概要 |
1.Shimazawa R, Kano Y, Ikeda M. Natural language processing-based assessment of consistency in summaries of product characteristics of generic antimicrobials. Pharmacol Res Perspect 2018;6:e00435. 近年医療でも様々な分野で人工知能(AI)の応用が盛んになっているが,医薬品の文書解析に十分な性能を持ったAIはいまだに存在しない.大量の医薬品文書を効率的に解析する人工知能(AI)の開発のために,英国の抗菌薬の添付文書を対象に,先発品と後発品で自然言語処理(NLP)により比較した.その結果,NLPにより比較した時の合致率の指標RATEのAUC(area under the curve)は,医師の判断をgold standardとした時,0.903 (標準偏差 0.02)であり,特異度を100%とした時の感度は61%であった.以上の結果より,規制当局は後発品の添付文書は先発品と同一となるように要求しているが,実際には異なる物が相当数存在すること,NLPはその相違をスクリーニングするのに実用的な性能を持っていることが証明された.
2.Shimazawa R, Ikeda M. Pharmacogenomic biomarkers on drug labels: interpretation of United States and Japanese labels based on Pharmacogenetics Knowledgebase. J Clin Pharm Ther 2018;43:500-506.薬理ゲノム学的バイオマーカー(PBGM)が記載された添付文書は数多いが,その中のどれもが実際の診療行為に直結する(actionable)とは限らない.我々はPharmacogenomics Knowledgebase (PharmGKB)が定めたPGx levelsを指標として,添付文書上での各PBGMの記載が診療行為に対する影響力について比較し,各PBGMの保険償還状況と併せて,日米両国の添付文書で検討した.その結果,PGx levelsが高いほど,すなわち,診療行為に直結するに足るエビデンスが十分であるほど,保険償還の対象となる可能性が高いことが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.人員を含めた研究体制の整備が十分であったこと。2.独創的な研究手法が確立していたこと。3.研究対象が公開資料であるため、資料入手に時間を必要 としなかったこと。4.本研究開始以前に構築してきた医薬品ナレッジベースが研究手法として大いに役立ったこと。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も研究を進め、得られた結果を取りまとめることに加え、高齢者向け医薬品情報提供について、自然言語処理(NLP)の手法を用いて日米欧の三極の差を検討する。また、高齢者にも頻度が高い糖尿病を始めとする生活習慣病のガイドラインと当該疾患に対する医薬品の情報提供状況を比較検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
電子会議・メール・電話連絡などの手段による短時間の打ち合わせを繰り返すことにより、当初予定していた実際に顔を合わせての研究打ち合わせをしなくても済むようになったため。翌年度は研究の進行により、実際に顔を合わせて綿密な打ち合わせを繰り返すことが予想されるので、その費用に充当する予定である。
|