研究課題/領域番号 |
17K08927
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
恒松 美香子 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 講師 (80710194)
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研究分担者 |
今井 賢治 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 教授 (10257834)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 鍼施術 / 感染対策 / 手指衛生 / 手洗い / 消毒 / グローブ / 電子顕微鏡 / 視覚障害者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生体内に刺入される鍼が鍼灸師の手指で汚染されない方法および患者体液に鍼灸師が触れない技術を検討し、感染症予防に有効かつ視覚障害を持つ鍼灸師にとっても実践可能な衛生的な鍼操作法を構築することである。 本年度は、臨床室での行動を想定した条件下での手指衛生操作と鍼および鍼灸師手指への細菌付着の状況を検討した。鍼灸師6名(晴眼者3名、視覚障害者3名)を対象者として実験を行った。対象者は、臨床室での行動を想定し、手洗い後擦式消毒を行った後、治療ブースに移動し、患者に理学検査を行った。その後、再度手指消毒は行わない素手(条件1)、再度擦式消毒を行った素手(条件2)、グローブ着用するが表面の消毒無し(条件3)、グローブ着用かつ表面を消毒(条件4)の4条件で、押手側の母指と示指で鍼に触れ、その鍼を寒天培地上に置いた。手指については寒天培地上に接地してもらった。すべての寒天培地は37℃で24時間培養し、培地上のコロニー形成の状況を確認した。結果として、条件1のみ6名中1名で鍼よりコロニーが形成されたが、条件2、3、4ではいずれの鍼からもコロニーは形成されなかった。鍼灸師の手指に関しては、条件1ではすべての対象者でコロニー形成が認められたが、条件2では3名、条件3では4名、条件4では3名であった。視覚障害者の対象者1名からは、グローブの取り出し口がわかりづらかったという意見があった。ビデオによる観察では、視覚障害者でグローブ装着時にグローブ表面に触れる行動が認められた。 素手であっても手洗い消毒を行えば鍼への細菌の付着を抑制可能であり、さらにグローブを使用した場合は、より鍼を清潔に保つこと可能であることが示唆された。しかしながら、視覚に障害があってもより実行しやすい手順を考える必要もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定数の対象者の実験実施が困難であった。理由としては、新型コロナウイルス感染拡大のため、被検者の安全確保を検討するのに時間を要したこと、また、実験に必要な消毒薬等の衛生材料の確保が難しかったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に完全に実施できなかった、実践的な鍼灸臨床上での衛生的な鍼施術法について、さらに被検者数を増やし検討を進める。また、得られた研究成果の論文化も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験実施が新型コロナウイルス感染拡大のために困難であったため。次年度使用額は研究のまとめのための論文作成にかかる費用(翻訳、事務機材の購入等)に充てる予定である。
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