研究課題/領域番号 |
17K08931
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
渡邊 亮 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 准教授 (90756173)
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研究分担者 |
小宮 貴子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00385105)
佐藤 大介 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (10646996)
松村 一 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80256263)
菊池 宏幸 東京医科大学, 医学部, 講師 (90783142)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 費用最小化分析 / レセプト情報・特定健診等情報データベース / 爪白癬 |
研究実績の概要 |
本研究では、医薬品・医療機器の費用対効果評価におけるNDB(ナショナル・データベース)の活用可能性の検証と課題の抽出、NDB以外のデータの必要性の検討を行うことを目的として実施しており、そのために、白癬菌抗原キットについて、NDBデータを用いて費用対効果評価を行うこととした。公衆衛生上の課題である公的医療保険財政の悪化を抑制し、限られた資源配分を行う手法として注目されている費用対効果評価を実施すること、またその分析にNDBという悉皆性の高い二次データを用いて実施する方法論を構築する点で独創的である。本研究の遂行に当たり、上記の通り爪白癬症例数や同疾患の治療にかかる費用などについてはNDBデータを用いて分析を行うこととした。 本研究では、厚生労働省からNDBデータを受領して「爪白癬」に関する症例を抽出した。また、爪白癬症例のうち、顕微鏡検査実施(微生物学的検査判断料の算定により同定)有無別症例数及び医療費を算出した。また、先行研究で示された顕微鏡検査を行わずに臨床症状のみで爪白癬と診断した場合、顕微鏡検査を行った場合、そして白癬菌抗原キットを用いて診断を行った場合の感度・特異度を踏まえ、特異度が高い白癬菌抗原キットを用いることにより偽陽性症例が減少することによる費用最小化分析を実施した。 その結果、鏡検によらず臨床症状のみで診断を行った場合に対して白癬菌抗原キットを用いることで、偽陽性1症例当たり必要となる約10万円程度の医療費を削減できる可能性が示された。この結果は臨床症状のみによる診断の感度・特異度や受診患者の有病率によっても左右されるものの、感度分析の結果、概ね本結果の蓋然性が高いことが示された。 本研究を通じて、NDBデータを用いた費用対効果評価の意義が明らかとなったと共に、その利用における課題として、NDBデータの分析環境構築やシステム運用などの難しさなども明らかになった。
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