研究課題/領域番号 |
17K08933
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
小茂田 昌代 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (50167409)
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研究分担者 |
山本 美智子 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90538125)
後藤 惠子 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40434047)
真野 泰成 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (60406254)
根岸 健一 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (20286363)
宮崎 智 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (30290894)
和田 猛 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (90240548)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アカデミック・ディテーリング / 基礎薬学の臨床活用 / 医薬品比較 / 医薬品情報提供アプローチ / 処方支援 |
研究実績の概要 |
1.医薬品比較システムの開発(小茂田、宮崎、根岸、真野、寺下、和田)基礎薬学データを比較できるインターフェイス設計と、基礎薬学データをわかりやすく比較でき、使い分けポイントがわかるアカデミック・ディテーリング用画面設計を行い、システムの開発を委託した。添付文書情報と研究協力者である寺下氏が開発した構造式と薬物動態データも比較できるようにシステムに組み込んだ。さらに薬物治療ガイドラインの記載内容や腎障害時の注意表示、検査実施注意喚起についても比較表示できるように開発を進めた。 2.アカデミック・ディテーラーの養成(山本、小茂田、後藤、和田)2017年12月23日に第一回アカデミック・ディテーラー養成プログラムAコース(基礎薬学の臨床活用)を開始した。基礎薬学を臨床につなぐために有機化学研究者である和田氏と臨床系教員とのディスカッションを重ね、構造式の違いが副作用に与える影響について講義内容を充実させた。2018年2月25日にはBコースとして、山本氏が米国NaRCADのアカデミック・ディテーリング研修を受けた経験を活かし、そのカリキュラムとプラクティスに準じたプログラムを開発し実施した。 3.アカデミック・ディテーリング効果に関する研究(小茂田、根岸、真野)海外のアカデミック・ディテーリング教育を視察し、日本に最適なアカデミック・ディテーリングの研究デザインを検討した。日本版アカデミック・ディテーリングは、基礎を臨床につなぐ薬学的視点とエビデンス活用により医薬品比較情報を能動的に発信する新たな医薬品情報提供アプローチと定義し、アカデミック・ディテーラーの使命は医師の処方行動に影響を与えることとした。アカデミック・ディテーリング効果を検証する方法としてアカデミック・ディテーリング実施前後の処方変化を処方箋調査する方法について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.医薬品比較システムの開発 本部門でオリジナルデータベースのアイデアを出し、それを共同研究企業であるメディカルデータベース株式会社がデータベースの開発を進める場合と、メディカルデータベース株式会社が先進的にすでに開発していたデータベースをシステムに活用させていただくという連携が順調に進んだため、データベース開発がほぼ予定通り進んでいる。 2.アカデミック・ディテーリング普及に向けた活動 日本におけるアカデミック・ディテーリングの普及に向けて、学会でシンポジウムを企画した。①日本医薬品情報学会シンポジウム企画「アカデミック・ディテーリングを実践しよう!~公正中立な医薬品情報活動の推進~」②第27回日本医療薬学会年会(千葉)シンポジウムを企画「アカデミック・ディテーラーが処方行動を最適化する~次世代薬剤師の意識改革へ~」③第138年会日本薬学会(金沢)シンポジウムを企画「最適処方に導くアカデミック・ディテーリング~基礎薬学とエビデンス活用による処方支援~」 3. アカデミック・ディテーラー養成プログラム開始 医療現場の薬剤師が参加する学会でシンポジウムを企画することで、アカデミック・ディテーラー養成プログラムは特に公募しなかったが、病院薬剤師18名、教員3名、製薬企業1名、保管薬局2名の合計25名の意欲ある優秀な薬剤師が参加した。参加者はアカデミック・ディテーラーのパイオニアとして活動していただけると大きな期待を寄せることができ、順調にアカデミック・ディテーラー養成を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.医薬品比較システムの開発:医薬品の特性に関するデータベースをもとに医薬品比較システムを使いやすいシステムにするために、モニターとして現場の病院や保険薬局に実装していただき、システム改善を図る。 2.アカデミック・ディテーラーの養成:アカデミック・ディテーラー養成プログラムAコース「基礎薬学の臨床活用」、Bコース「海外の研修から学ぶ」に引き続き、Cコースとして「アカデミック・ディテーリングn実践」を行う。ABCの3コース終了と日本アプライドセラピューティクス学会文献評価WS参加により、アカデミック・ディテーラー第1号を輩出する。さらに第2回アカデミック・ディテーラー養成プログラムを主に保険薬局の薬剤師を対象に行う。 3.アカデミック・アカデミック・ディテーリング効果に関する研究:養成したアカデミック・ディテーラー第1号の病院において、アカデミック・ディテーリングの処方への影響に関する研究を実施する。医師にアカデミック・ディテーリングを行うことで、処方に与える効果を検証する。 4.医薬品情報プラットフォームの創成:医薬品特性の中でも特に薬物動態に関する情報は、医薬品を使い分ける上で非常に貴重である、しかし、薬物動態の情報は標準化されておらず、比較するのがむつかしい状況にある。そこで、薬物動態の標準格納項目を提案し、製薬企業にデータ提供の協力を得ることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
MDアンダーソンがんセンターとヒューストン大学薬学部の視察が3月であったため、視察費用の確保のため、システム開発費用の確定が遅れた。結果として、海外視察費用はほぼ予定通りであったため、医薬品比較システム開発として、分担者にご協力頂き、相互作用の比較、検査注意喚起の比較、アカデミック・ディテ―リング用の比較ができるグラフ表示画面などの設計を進めており、30年度にシステム開発を委託する費用として使用予定である。また、山本美智子先生の分担金はカナダのアカデミック・ディテーリング研修を視察予定であり、先方の都合により、5月に視察が決まったため、分担金を使用予定である。
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備考 |
(1)アカデミック・ディテーリング・データベース部門については下記アドレス https://rist.tus.ac.jp/introduction/division/アカデミック・ディテーリング・データベース部/
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