研究課題/領域番号 |
17K08935
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松本 直也 日本大学, 医学部, 教授 (80277441)
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研究分担者 |
天野 康雄 日本大学, 医学部, 教授 (30281421)
飯田 圭 日本大学, 医学部, 准教授 (60526127)
鈴木 康之 日本大学, 医学部, 助教 (60793643)
横山 勝章 日本大学, 医学部, 専修指導医 (60571015)
木曽 啓祐 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (60536580)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クリニカルシナリオ |
研究実績の概要 |
非侵襲的画像診断および侵襲的画像診断の適切性使用基準(AUC)の策定にあたり78名の医師から回答を得た。その回答値を平均化することによって適切(A)、恐らく適切(M)、まれに適切(R)から構成されるJapan AUCを得た。全82シナリオにモダリティ数を掛けた質問の合計は554であった。このうちの80シナリオにおける米国において策定されたUS AUCと日本人医師によるJapan AUCにおける完全一致率は39%であった。また各モダリティ別の一致率は心電図(ECG)37%、負荷シンチ(RNI)48%、負荷エコー(Echo)50%、負荷MRI(CMR)50%、冠動脈カルシウムスコア(CCS)7%、冠動脈造影CT(CCTA)18%、冠動脈造影(CAG)60%という結果であった。回答者を1)30歳代以下(10名)、2)40歳代(31名)、3)50歳代以上(37名)の3群に分けた時の各モダリティ別AUC一致率は以下の通りであった。当初、年代が上昇するに従って米国におけるAUCとの乖離が少なくなると予想していたが、結果は40歳代におけるCCSを除くすべてのモダリティにおけるUS AUCとの一致率が高かった。一方、3つの年代においてすべて一致率が低かったのはCCSであったため、CCS検査における啓蒙が最も重要と考えられた。 ECG RNI Echo CMR CCS CCTA CAG 平均% 30歳代以下39 42 51 39 14 15 48 35.7 40歳代 45 58 60 56 6 24 69 45.8 50歳代以上30 48 50 45 6 20 59 37.0
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AUC策定アンケート調査の為のサイト構築と実際の回答を得るのに時間を要したが、当初予定していた回答数である80%程度の医師から回答を得たため、Japan AUCの策定に成功した。R1年度は2回の学会発表と同時に開催した班会議によって本来あるべきJapan AUCの修正を行った。医師の年代(経験年数)によってAUC一致率に差があることが分かり特に30歳代以下と50歳代以上に乖離があることがわかった。どの年代であっても理解に差があるのは冠動脈カルシウムスコアと冠動脈CTに関する使用法である。また2019秋に公表された欧州心臓病学会からの慢性冠動脈疾患ガイドラインでは冠動脈CTを一義的に使用して疾患を除外する診断戦略も明らかとなったため検討に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
Japan AUCの中で最も臨床上用いられる可能性の高い冠動脈疾患群と冠動脈疾患非診断群においての書面によるフィードバックを行う予定であるが、特に一致度が低かった冠動脈カルシウムスコアと次に一致率の低かった冠動脈CTの使用法に関するフィードバックが重要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州心臓病学会による慢性冠症候群診断ガイドラインの公表があったため当初予定していなかった班会議の開催を必要とした。次年度使用予定の資金は回答者へのフィードバックの際の郵便代等に使用する予定である。
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