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2019 年度 実績報告書

糖尿病患者の社会経済状況が慢性合併症進行に影響するメカニズムの行動経済学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K08936
研究機関日本医科大学

研究代表者

江本 直也  日本医科大学, 医学部, 教授 (50160388)

研究分担者 小谷野 肇  順天堂大学, 医学部, 准教授 (80291897)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード糖尿病 / 糖尿病合併症 / 行動経済学 / socioeconomic status / リテラシー
研究実績の概要

これまで我々は血糖コントロールが不良の患者ほど、リスクに対する危険回避度が低い傾向にあることを報告した。しかし、危険回避度をみる質問に対して不適切な回答や非合理的な回答をする患者が少なからず存在した。これらの患者では真に危険愛好的なのか、合理的判断能力が劣るのかが不明であった。そこで今回は糖尿病患者の合理的判断能力とそのsocioeconomic statusとの関係を解析した。対象は東京の日本医大学付属病院に通院中の糖尿病および糖尿病以外の疾患の患者とした。今回の研究で用いた質問票は、大阪大学社会経済研究所「くらしの好みと満足度についてのアンケート」を参考に独自に作成した行動経済学的観点から選択を問う質問である。2017年10月から2018年10月に質問票を配布し、参加に同意し質問票に回答した387名(糖尿病患者305名、糖尿病以外82名、年齢62.1±12.5歳)を対象とした。危険回避度に関する質問に対して、白紙の回答、指示に従わない回答、標準的経済学の考え方に矛盾する回答を不適切・非合理的回答(非合理)とし、その他を適切・合理的(合理)とした。非合理の比率は年齢とともに上昇したが、糖尿病患者で特に顕著で、65歳以上では非合理は糖尿病以外では19 %であったが、糖尿病患者では44 %と非常に高かった(p=0.0050)。学歴が高いほど非合理の頻度は有意に低下するが、糖尿病患者で網膜症を有している患者では非合理の頻度が高く学歴の影響が消失していた。
これは文章の読解力やそれに基づく合理的判断、いわゆるリテラシー能力が劣る患者では糖尿病合併症が進行する可能性が高いことを示している。若年時の家庭の社会経済状況を示す学歴の影響がなくなっていることから、患者のsocioeconomic statusとは関係なく糖尿病発症後にリテラシー能力が低下する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Socioeconomic Status, Literacy, and Sex Differences in the Progression of Retinopathy in Patients With Type 2 Diabetes in Tokyo, Japan.2020

    • 著者名/発表者名
      Naoya Emoto, Akimi Soga, Izumi Fukuda, Kyoko Tanimura-Inagaki, Taro Harada, Hitoshi Sugihara , Rei Goto,
    • 学会等名
      Endocrine Society’s Annual Meeting, San Francisco, CA, United States. (Conference canceled)
    • 国際学会
  • [学会発表] 糖尿病患者の危険回避度と合理的判断能力2019

    • 著者名/発表者名
      曽我彬美、江本直也、福田いずみ、稲垣恭子、原田太郎、杉原 仁、後藤励
    • 学会等名
      第62回日本糖尿病学会年次学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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