研究課題/領域番号 |
17K08940
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
横尾 美智代 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (00336158)
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研究分担者 |
宮城 由美子 福岡大学, 医学部, 教授 (20353170)
早島 理 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60108272)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 予防接種 / ワクチン / 地域共同体 / 感染症 / anti vaccine |
研究実績の概要 |
昨年2月、予防接種法施行令の大幅改正が実施され、通常乳幼児を対象に実施されているMRワクチン1期、2期に5期(38歳から56歳の男性)が追加された。これまでいくつかの自治体で実施されていた試みが法改正につながり、クーポンが配布されるようになった。法改正前後に、5期予防接種の実施に向けて、各地で多くのシンポジウムが開催された。先行事例として静岡県の企業(大手自動車部品関連工場)の風疹の予防接種の取り組みについて詳しく学ぶ機会を得た。感染症に対する危機感の低い成人男性を対象とした「集団防御」を組織(企業)が取り組む際の利点や問題点等について検討、様々な立場の人の意見を聞く機会を得た。それは一企業が社員・家族を守るという視点ではなく、関連企業、取引先等、社会全体への影響という全体主義的な「使命感」が防御達成にとって大切であるということ、また会社全体で危機意識を持ちながらも、罹患者が出た場合は、十分な休業補償や円満な仕事の引き継ぎ等、社員の「安心感」にも配慮することが重要であることを理解した。一定の規模の企業が集まるエリアではこのような企業を中心とした取組みは有効だと考えられるが、中小企業や自営業者を対象とした取り組みは、大企業のそれとは一致しない点がある。さらに、前述した大企業においても、業務形態では危機意識が異なる点が指摘されていた。例えば、社外関係者との接触機会の多少が接種への積極性や危機感に違いがあるとのことであった。 今年に入って新型コロナウイルス感染症の流行により社会全体での感染防御が最優先事項となる事態が発生した。一部の企業はリモートによる企業活動を継続できた一方で、中小企業、自営業者には長期に渡って困難な状況が続いた。予防接種がない疾患による感染症の蔓延とそれに伴う自粛期間を経験した地域の人々が、感染症に対して意識が変わったかについて調査を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の発生とそれに伴う自粛により、研究活動も中断を余儀なくされたため。本調査が開始された後に、予防接種法による接種対象に追加された成人男性集団を対象に、感染症と予防接種に関する意識調査および勉強会を行う。
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今後の研究の推進方策 |
従来予定していた地域での高齢者を対象とした講座、乳幼児を孫に持つ高齢者を対象とした情報収集のためのリスク教室は新型コロナウイルス感染症の影響により、秋以降に延期した上で実施予定である。さらに、これまで感染症に関心が低く調査が困難であった成人男性を中心とする集団に対して、今回の新型コロナウイルス感染症での対応にからめて感染症とリスク要因について調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
立案当初の研究計画に遅延が発生した結果、次年度使用額が発生したため。昨年度、実施予定であった一般住民を対象としたリスクコミュニケーションに関する資料の作成を実施する。さらに、乳幼児を持つ保護者(特に父親)を中心とする集団に協力をお願いし、今回の新型コロナウイルス感染症での対応と乳幼児の感染症に関するリスク意識、予防接種への意識調査を実施する予定である。
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