研究課題/領域番号 |
17K08940
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
横尾 美智代 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (00336158)
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研究分担者 |
宮城 由美子 福岡大学, 医学部, 教授 (20353170)
早島 理 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60108272)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グループワーク / 予防接種 / 地域共同体 / 感染症 / anti vaccine |
研究実績の概要 |
リスクコミュニケーション、リスクコントロール等、「リスク」という言葉が社会で広く使われるようになったとはいえ、その考え方は一般住民の間では定着しているとは言えない。本研究の特色は、予防接種や感染症を通して地域住民に集団の「リスク」を理解してもらう点にあった。当初の予定では、調査期間中に地域住民に対して「学びの会」を実施し、フォーカスグループインタビューを通して集団の感染リスクを理解し、対応を判断する力を身につけるにはどうしたらよいかを研究する予定であった。この研究を行うことで、共同体全体が感染症のリスクを知り防御体制を整える、つまり集団を思いやる気持ちを高めるプログラムを作成する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の突発的流行により「学びの会」の実施が困難になる一方で、予防接種の重要性や入手簡便さに焦点があたり、世の中の動きが当初の想定をはるかに超えたところで、感染症と予防接種に注目が集まる事態となった。さらにSNSでは予防接種に対して強い反対を述べる集団が現れたり、これまで聞かれなかった接種を受けない人の人権や差別に配慮する声も高まった。予防接種を取り巻く世の中の動きは従来の医学、医療だけではなく、他の分野(例えば法学等)の力を借りて多角的視野を持って取り組む必要がある。新型コロナウイルスが流行する前は感染症の集団防御の意識が希薄であったが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが一段落している今、人々は感染症や予防接種に対して個々が自分の意見を持つようになったことが明らかになった。感染症との新たな対峙方法について、地域住民の「学びの会」はこれからが本格的始動である。今後、さらに研鑽を積む所存である。
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