研究課題
本研究は、心血管疾患の一次予防としての脂質低下療法について、費用対効果の観点から検討するものである。2年目である平成30年度は、Cardiovascular Disease Policy Modelを参考に作成したモデルに組み込むパラメタとデータの収集を行った。心血管疾患の発症リスクは、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年度版に採用された吹田スコアを用いることとした。吹田スコアは年齢、性別、喫煙、血圧、HDL-C、LDL-C、耐糖能異常、早発性冠動脈疾患家族歴の情報を用いて10年以内の冠動脈疾患の発症確率を推定するものである。これらの心血管疾患リスク要因の分布については、国民健康・栄養調査および既存の研究より情報を収集した。シナリオに用いる脂質異常症の標準治療は上記ガイドラインに従うこととし、薬剤については、動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年度版に掲載されている薬剤を使用することとした。モデルに用いる費用と効用値についても、公開データおよび既存研究からモデルに含めるデータの収集を行った。効用値については、日本人を対象に測定された研究が少なく、現時点では海外のデータを外挿する必要があり、課題が残った。本研究は、心血管疾患の発症率が欧米と比べて少ない日本人において、一次予防を目的とした脂質低下療法をどのような患者に対し実施するべきかを費用対効果の面から検討することに主眼をおいている。そのため、モデルに組み込む情報は、日本人のデータを用いることが望ましい。最終年度は、追加調査を含めて日本人の患者の効用値のデータ取得について検討する。データがそろった時点で、これらのパラメタ、医療費、効用値を投入したシミュレーションモデルを用いて費用対効果分析を行う。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度は、心血管疾患の一次予防としての脂質低下療法についての費用対効果を検討するためのシミュレーションモデルに組み込むパラメタとデータの収集を行った。モデルに用いるデータに一部、課題はあったものの、分析に用いる情報を収集することができた。
最終年度である次年度は研究計画に従い、これまで収集したパラメタ、費用、効用値の情報を用いて費用対効果分析を行う予定である。今年度に課題となった心血管疾患患者の効用値については、使用可能なデータについて再度検討し、可能であれば追加調査を行うこととする。
購入を予定していたソフトのバージョンアップが近日中にあるとの情報を得たため、購入を控えたため、次年度使用額が生じた。次年度は、分析のためのソフト購入、データ加工および結果の公表のために予算を使用する予定である。
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