研究課題
薬剤の副作用のうち薬疹や間質性肺疾患(ILD)など免疫が関与すると考えられるものは特定のHLAが危険因子となる。免疫チェックポイント阻害薬では免疫関連有害事象が問題となるが、免疫チェックポイント阻害薬の作用機序を考えると、免疫関連有害事象および効果はHLAに依存すると予想される。我々は先行研究において、ゲムシタビンとエルロチニブ併用療法によるILDは特定のHLAの組み合わせとオッズ比52の高い相関を示すことを見出したが、この実績に基づいて、免疫チェックポイント阻害薬を使用するがん患者でHLAを解析し、免疫関連有害事象および効果と関連するHLAの特定することを目的として本研究を実施した。最終年度には免疫チェックポイント阻害薬を初回に使用した各種がん患者29例を登録し、HLA解析用検体を採取した上で、免疫チェックポイント阻害薬治療による免疫関連有害事象を観察した。昨年度までに登録した症例と合わせて全部で77例の適格患者を集積したことになり、抗PD-1抗体薬を単独で使用した患者が72例、抗悪性腫瘍薬PD-1抗体薬と抗CTLA4抗体薬を併用した患者が5例であった。これら77例について免疫関連有害事象を調査したところ、甲状腺機能低下症、劇症1型糖尿病、副腎不全、皮膚障害、間質性肺炎、腸炎、肝炎、関節炎など24事象を20例に認めた。抗PD-1抗体薬単独使用では72例中免疫関連有害事象は15例(21%)でみられ、一方、併用では5例中4例(80%)にirAEが出現しており、頻度に差を認めた。HLA解析が69例で終了し、irAE発症との関連を解析したところ、統計学的に優位に免疫関連有害事象の発症と関連するHLAを3種類同定した。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Cancer Sci
巻: 110 ページ: 2894-2904
10.1111/cas.14148
巻: 110 ページ: 1995-2003
10.1111/cas.14015