本研究では、がん化学療法における末梢神経障害と睡眠との関係を検討し、新たな予防・治療薬の探索を行った。その結果、抗がん薬による末梢神経障害と睡眠との明確な関係を見出すことはできなかったが、PC 12細胞や末梢神経障害動物モデルを用いて、イブジラストおよび加味逍遥散などの薬剤が予防効果を有することを見出した。さらに、これらの薬剤は坐骨神経の軸索変性を抑制することを確認した。一方、これらの薬剤は、オキサリプラチンの抗腫瘍作用に影響しないことを、がん細胞や担がん動物を用いた検討で確認した。以上の研究成果より、イブジラストや加味逍遥散が抗がん薬誘発末梢神経障害に対して有用である可能性を見出した。
|