研究課題
本研究課題は、代謝酵素の遺伝子変異、腎機能、血中タンパク濃度などの各薬物に固有の薬物動態(Pharmacokinetics:PK)規定因子を指標として用量調節を行い、個々の患者の薬物曝露量を有効性と安全性が担保されている曝露量に一致させること(exposure matching)による個別化投薬の確立を目指している。したがって研究対象の6薬剤について、①曝露量-反応関係の有無および程度の検討、②PK規定因子の探索と確定、③個別化投薬アルゴリズムの構築、といった3つのステップにより検討を進めており、患者のPKデータならびにPK規定因子候補も含めた臨床情報を収集することを基本としている。以下に令和元年度の研究実績を記す。(1)CYP2C19の遺伝子型に基づくボリコナゾール併用時のタクロリムス:③に関する論文化の準備を進めている。(2)S-1:30例での臨床試験結果の論文を③として作成中である。(3)①に関する臨床試験結果の論文が国際誌(Clinical Colorectal Cancer)に2019年10月に採択され、2020年3月に掲載された。(4)アルブミン懸濁型パクリタキセル:①と②に関する臨床試験を終了し、UPLC-MS/MS法にて血中濃度測定を行った。(5)トラスツズマブ:②の検討のための臨床試験サンプルの解析を行った。(6)ラムシルマブ:②の検討のための臨床試験サンプルの解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究対象の6薬剤における各臨床試験を全て完遂したため。
成果報告に向けて論文作成を行っていく。
American Society for Clinical Pharmacology & Therapeutics (ASCPT:米国臨床薬理学会)は臨床薬理学領域で最も重要な学会であるため、2020年3月18日~21日にアメリカ合衆国にて開催されるAnnual Meetingに参加し、情報収集を行うとともに研究結果を発表して意見交換を行った上で本研究成果をまとめる予定としていた。しかしながらCOVID-19感染拡大の社会情勢によりAnnual Meetingの開催中止が3月5日に通知されたことから、本学会参加のための旅費分が残金として次年度使用額となった。この生じた次年度使用額は2021年3月に開催されるASCPT Annual Meeting参加のための旅費として使用する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Clinical Colorectal Cancer
巻: 19 ページ: 13~21
10.1016/j.clcc.2019.10.004