研究課題/領域番号 |
17K08963
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
酒井 良子 東京女子医科大学, 医学部, 特任助教 (30631981)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬剤疫学 / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
①CORRECTデータベースで収集するデータは、関節リウマチ(RA)治療内容、疾患活動性、重篤な有害事象(SAE)の有無と詳細、全般的疾患活動性評価、身体機能障害の評価指標を登録時から半年毎に収集する。本データベースを用いて、分子標的薬の安全性と有効性を解析するため、本データベースへの患者登録の推進とデータベースの充実化を行った。 ②当初の予定では、高齢RA患者における分子標的薬の有効性と安全性について解析する予定だったが、症例数およびフォローアップデータが不足していたため研究内容を次のように変更した。 生物学的製剤使用RA患者に関する疫学研究(REAL研究、2006-2011患者登録)または分子標的治療薬使用RA患者に関するアウトカム研究(CORRRECT研究、2012-2017患者登録)のデータを有する患者のうち、メトトレキサート(MTX)新規開始患者の背景因子、登録から3年間のRA治療内容、6か月毎の疾患活動性の推移、重篤な有害事象(SAE)の罹患率(IR/100人年[95%信頼区間])をREAL群とCORRECT群で比較した。その結果、CORRECT群(n=277)はREAL群(n=212)と比較して罹病期間が有意に短かった(REAL:1.0年、CORRECT:0.4年)。3年間のMTXの投与量(中央値)はREAL群では6から8mg/週を、CORRECT群では8から10mg/週を推移していた。RA疾患活動性の推移は両コホートでほぼ同等だった。SAEのIRは、REAL群は7.4[5.3-10.0]、CORRECT群では7.6 [5.7-10.0]、発生率比は1.0 [0.7-1.6]と両群間に有意差は認められなかった。 ③高齢RA患者におけるRA治療の実態に関する疫学研究を実施するため、ナショナルデータベース利用に伴う申請書類の作成を開始し、引き続き作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたCORRECT研究を用いた高齢RA患者における分子標的薬の有効性と安全性に関する解析が症例数の不足により解析ができなかったが、代わりにREALコホートとの比較研究を実施し、一通りの解析を終了したこと、ナショナルデータベース申請のための準備も概ね順調であり、平成30年度中のデータ申請と取得の見通しが立ったため、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①引き続きCORRECTデータベースへの患者登録の推進とデータベースの充実化を徹底する。 ②CORRECTデータベースを用いて、高齢RA患者における分子標的薬の有効性と安全性について解析を進める。 ③高齢RA患者におけるRA治療の実態と分子標的薬使用下における安全性に関する疫学研究を実施するため、ナショナルデータベース利用申請を行う。データが届き次第、RA患者の診療実態(抗リウマチ薬の使用率、各検査実施率、RAに関連した手術の施行率、リハビリテーション実施率など)を記述する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:CORRECTデータベースを用いた研究において平成29年度に予定していた高齢者に関する解析が実施できなかったため。 使用計画:CORRECTデータベースを用いた研究における統計解析の費用、ナショナルデータベース解析に必要な解析ソフトの購入、欧州リウマチ学会発表のための旅費等に使用する予定である。
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