研究実績の概要 |
メディカル・データ・ビジョン社から提供されたレセプトデータから、2008 年4月から2018年9月の間に関節リウマチ(RA)の確定診断名が付与されかつメトトレキサート(MTX)または分子標的薬(TT)が1回以上処方された16歳以上をRA患者と定義し、観察期間は最長3年間とした。若年者群(Y群、n=9,122)、高齢者群(E群、n=7,155)、超高齢者群(OE群、n=6,419)において、女性の割合はそれぞれ75.3%、69.6%、72.9%、観察期間中央値は26ヵ月、24ヵ月、19ヵ月、慢性肺疾患の合併割合は12.4%、16.2%、17.2%、糖尿病は6.1%、11.4%、11.0%、入院を要した感染症(HI)歴は2.8%、4.1%、6.1%であった。HIの発生率(/100人年)はY群3.2、E群5.0、OE群10.1であり、Y群に対する発生率比(IRR [95%信頼区間])はE群が1.6 [1.4-1.8]、OE群は3.2 [2.8-3.6]であった。MTX投与例におけるHIの発生率(/100人年)は、Y群2.3、E群4.9、OE群 11.0であった。これに対し、TT投与例におけるHIの発生率(/100人年)は、それぞれ4.3、5.1、8.7であった。MTXに対するTTのIRR[95%信頼区間]はY群では1.9([1.5-2.2]であったが、E群では1.1 [0.9-1.2]、OE群では0.8 [0.7-0.9]であった。患者背景因子で調整したTT治療におけるHIのオッズ比はY群では1.3、E群では0.8、OE群では0.7であった。TTの投与中に何らかの免疫抑制薬を併用した患者はY群67.3%、E群56.6%、OE群51.0%であった。高齢患者および超高齢患者ではMTXと比較してTTでHIリスクが低下したが、これは主治医が治療を調整したことによると考えられた。
|