本年度は、グリセルアルデヒドやフルクトースにより形成される終末糖化産物(AGEs)やグリセルアルデヒド由来ピリジニウム(GLAP)に焦点を当て、血管障害における病態を解明し、その治療法を探る研究を行った。 ヒト血管内皮細胞やヒト腎近位尿細管細胞を用いた細胞実験系において、フルクトース由来AGEsとGLAPが酸化ストレスを誘導し、炎症反応や血栓傾向を惹起することを発見した。さらに、これらの作用はGLAPやフルクトース由来AGEsと結合してその機能を阻害するDNAアプタマーの投与で抑えられることが見いだされた。 今後は、ラミニン受容体結合ドメイン(LR205-229)に対するアプタマーを作製する際、SELEX法の条件(DMSO濃度、MgCl2濃度)を複数検討すると共に、ラミニン受容体の組換体について各種フラグメントを作製し、SELEX法をそれぞれのフラグメントについておこなうことで、候補アプタマーを再度作製し、検討を進めていく予定である。
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