研究課題/領域番号 |
17K08969
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田原 強 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (20419708)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 蛍光プローブ / 細胞トラッキング |
研究実績の概要 |
Off-On型ペプチド蛍光プローブを用いたin vivo細胞イメージングシステムを構築するために、初年度はまず、既存のOff-On型ペプチド蛍光プローブがあるProstate Specific Antigen (PSA)とカテプシンB遺伝子をトランスジーンとして用いて検討を行った。 まずPSAおよびカテプシンB遺伝子をヒト前立腺がん細胞より単離し、クローニング後、発現ベクターを構築した。293T細胞にこれらの遺伝子を発現させ、ウエスタンブロッティングおよび蛍光免疫染色法によって、目的遺伝子が強制発現していることを確認した。続いて、遺伝子導入細胞に対して、Off-On型プロローブを加え、蛍光強度を測定したところ、正常な293T細胞では、数値の上昇は見られず、一方遺伝子導入した293T細胞において、明らかな数値の上昇が認められ、PSAおよびカテプシンBの2種の遺伝子がトランスジーンとしても機能する可能性が示された。 既存プローブと並行して、新規トランスジーンとしてtobacco etch virus protease (TEVp)の発現ベクターの構築も行った。構築できたTEVp発現ベクターをヒト子宮頸がん細胞HeLaおよびヒト神経膠芽腫U87MGに導入し、発現を調べた。ウエスタンブロッティングおよび蛍光免疫染色法によって、TEVpが強制発現されていることが示された。また強制発現させたTEVpがプロテアーゼ活性を示すかどうかを調べる目的で、TEVp認識配列を用いてHalo-tagと蛍光タンパク質Venusの融合タンパク質の構築を行い、現在融合タンパク質の発現の確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、PSAおよびカテプシンBの発現ベクターの構築でき、Off-On型蛍光プローブとの組み合わせることで、in vivo細胞イメージングに利用できる可能性を見出だした。 また新規トランスジーンとしてTEVpの構築も終了し、さらに現在その機能を調べる段階に進むことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、29年度に作製したPSAもしくはカテプシンB発現ベクターをがん細胞あるいはiPSなどの未分化細胞に導入し、移植後の細胞の動態をOff-On型プローブと組み合わせることでイメージングできるかどうかについて検討する。 また、新規トランスジーンとしてのTEVpにおいては、プロテアーゼ機能の有無を調べた後、Off-On型ペプチド蛍光プローブの製作を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験がスムーズに進み、必要となった試薬・消耗品などが予定より少なく済んだため。
繰り越し額および本年度分の予算は、まず29年度と同様にin vitroでの実験と並行して、ペプチドの合成、蛍光標識および動物実験に用いる。動物実験において、より確実なデータを得るために、使用動物数を予定より多く実施する。またOff-On型ペプチド蛍光プローブの作製においては、合成受託を行い、さらに予定より多くの候補プローブの評価を行う。
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