研究課題/領域番号 |
17K08973
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 智徳 東北大学, 大学病院, 特任教授 (10282138)
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研究分担者 |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
白井 剛志 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20646997)
藤井 博司 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30531321)
城田 祐子 東北大学, 大学病院, 助教 (20455819)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 抗CCP抗体 / B細胞レパトア解析 / アバタセプト |
研究実績の概要 |
B細胞レパトア解析について。これまで1018もの多様性のあるT細胞/B細胞受容体の解析は、その多様性ゆえに困難であったが、次世代シークエンサーの登場により網羅的解析が現実のものとなった。次世代シークエンサーの利用には、RNAシークエンスを基盤としたシークエンス技術を用いる。この際、mRNAからcDNAライブラリー調製を行い、さらに、PCR法によってライブラリーを、バイアスをかけずに増幅する必要がある。例えば、ヒトT細胞受容体α鎖のV領域は117種類存在するため、multiplex法で代表される、多重プライマーを用いて増幅する方法がアメリカで開発され、実用化されている。しかし、多重プライマーを用いる方法ではそれぞれのプライマーの結合強度が異なるため、どうしてもPCR増幅にバイアスがかかってしまうことが指摘されていた。 レパトア解析の方法と結果。我々は、PCR増幅時のバイアスを少なくするため、アダプターライゲーション法を基本とした、遺伝子特異的非バイアス増幅法を開発した。この方法は、cDNAの5‘に特異的に一本鎖アダプターを結合させて、それをもとにPCR法で増幅する。このため、PCRプライマーは最小でよく、不要な遺伝子増幅は起こらないため、バイアスをかけずに遺伝子を増幅できる。29年度は、この方法を用いてB細胞受容体H鎖の検出を試み、B細胞受容体H鎖PCRプライマー設計を行って非バイアス遺伝子増幅技術を確立した。さらに、次世代シークエンサーでペアエンドシークエンスを行うことで、目的長の遺伝子配列を検出することができた。 患者におけるレパトア検出に関する臨床研究の進捗。現在上記手法を用いた臨床研究案を作成。プロトコールを倫理委員会に提出し、平成30年3月の倫理委員会で承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BCRのレパトア解析のための手法に修正を加えていて、時間がかかってしまったことと、倫理委員会に研究プロトコールを提出した際に、遺伝子研究である事を指摘され、それに合わせた対応が必要であった点の2点で、予定より進捗が遅れてしまった。解析手法が、ほぼ解決し、実際のサンプルを処理できる準備ができたことと、倫理委員会での承認がおりたため、4月から順時予定通りに解析を開始することができるようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、B細胞受容体のL鎖の非バイアス増幅技術を早急に確立する。また、承認された臨床研究のプロトコールに沿って、本年度より患者サンプルを得ることを開始する。関節リウマチに対して、アバタセプト使用した患者を、50例を目標に集積する。集積に関しては当院のみでなく当院関連施設にも協力を依頼し、当院を受診していただき、採血し、これらサンプルから、B細胞受容体H鎖の検出を行い、レパートリー解析を行う。現時点では、レパートリー解析には、免疫系バイオインフォマティックスのツールとして提供されているThe international ImMunoGeneTics information system(IMGT)のB細胞受容体分類を用いて、レパートリー解析を、V領域出現頻度、J領域出現頻度、を基本に解析していく。患者臨床症状を変数として設定し、この結果とともに、多変量解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当該研究は倫理員会の承認を得て臨床調査を行うものであるが、予定より進捗が遅れてしまい、当初予定した謝金を執行できなかったため。
使用計画:臨床調査に関わる患者謝金として平成30年度請求額と合わせて使用する予定である。
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