研究課題/領域番号 |
17K08983
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
浦野 健 島根大学, 医学部, 教授 (70293701)
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研究分担者 |
杉浦 智子 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (60647402)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症 / IL-1β / モノクローナル抗体 / バイオ医薬品 |
研究実績の概要 |
慢性炎症は、がんをはじめ、自己免疫疾患や生活習慣病、動脈硬化性疾患、神経変性疾患などさまざまな難治性疾患と密接に関連している。IL-1βは、IL-6や TNF-αなどと共に、炎症や感染防御に重要な役割を果たす実働分子である。これまで活性型 IL-1βを測定する方法は存在したが、その測定値と臨床症状との乖離が問題となっていた。そのため、IL-1βが実際炎症関連疾患にどのように関与しているのかは不明のままであった。臨床症状を反映した簡便・迅速・正確な測定法を確立し、モノクローナル抗体をシーズとしてバイオ医薬品を開発することを目的とした。ELISA キット開発に向け、 1)活性型IL-1βのみを認識するウサギポリクローナル抗体の作製と精製:タンパク質分解酵素カスペース1で切断されて IL-1β は活性型(117 - 269)となる。切断部位のペプチド 117APVRSLNC124 を用いてウサギを免疫し取得した。 2)活性型IL-1βのみを認識するマウスモノクローナル抗体の作製と精製:切断部位のペプチドを用いてマウスを免疫し、切断部位のペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体1種類を作製した。 3)断端以外のIL-1βタンパク質領域を認識するウサギポリクローナル抗体の作製と精製:大腸菌で発現させた活性型 IL-1β タンパク質をウサギに免疫し取得した。 4)断端以外のIL-1βタンパク質領域を認識するマウスモノクローナル抗体の作製と精製:大腸菌で発現させた活性型 IL-1β タンパク質をマウスに免疫し、活性型 IL-1βを特異的に認識するモノクローナル抗体3種類を作製した。さらに、大腸菌で作製したIL-1β タンパク質の断片を用いて、モノクローナル抗体3種類すべての認識部位を詳細に同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性型 IL-1βを正確に測定するためのシーズとなる、活性型IL-1β断端および断端以外のタンパク質領域をそれぞれ認識するウサギポリクローナル抗体およびマウスモノクローナル抗体をすべて作製した。
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今後の研究の推進方策 |
活性型IL-1β断端および断端以外のタンパク質領域をそれぞれ認識するウサギポリクローナル抗体およびマウスモノクローナル抗体を用いて、その組合せからサンドイッチ ELISA キット化に向けて最適条件を検討する。そして改良を重ね臨床症状を反映した正確な測定法として確立させる。
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