研究課題/領域番号 |
17K08984
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
米山 弘人 香川大学, 医学部, 助教 (80294750)
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研究分担者 |
正木 勉 香川大学, 医学部, 教授 (30335848)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / マイクロRNA / エクソソーム / 予後予測式 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)の患者の予後予測に有用なバイオマーカーとしてのエクソソームマイクロRNA(miRNA)を患者血清中に同定する目的で20名のNAFLD患者に同意取得の上で血清を採取保存した。保存血清から先ずはエクソソームの単離を試みたが、当初は収率や純度が不十分でmiRNAの解析に堪えなかった。そこでエクソソーム単離の手順を見直し、試行錯誤した結果ようやく安定した高品質の血清エクソソームを得ることができた。このエクソソームからmiRNAを抽出し、2600分子のmiRNAプローブを搭載したオリゴチップにかけてそのmiRNAを網羅的に解析した。臨床的プロファイルからNAFLDとしての病態が軽症のグループと、既に重症化しているグループに分けて上記のエクソソームmiRNAの解析結果についてクラスター解析を行ったところ両群間でのmiRNA発現パターンの違いが認められた。しかしその中からNAFLDの重症度に相関したmiRNAを抽出するためには、重症NAFD患者のサンプル数が少なく(現時点で5名しか得られていない)ため、現在サンプルを集積中である。 しかしこれまで集積した検体において統計的な信頼性はまだ不十分であるがNAFLDの予後予測に関連する可能性のあるエクソソームmiRNAが複数同定できている。それらの標的遺伝子の解析も既に行っており、患者臨床プロファイルと照合して予測式作成に重要と思わるmiRNAの絞り込みも既に開始している。絞り込んだmiRNAをエクソソーム検体においてRT-PCRをもちいて定量し、NAFLDの重症度との相関性を検証しある程度の相関性をつかんでいる。これらの研究結果は来年度以降に追加サンプル集積完了後の解析において予後予測式を作成できる可能性が高いことを示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想より重症のNAFLD患者の集積が少なく、予後予測に必要な検体数が不足したため患者リクルートに時間を要することとなった。しかし追加の検体集積は順調に進んでおり本年6月には解析が再開できそれ以降のステップは予定通りに進みやすい行程となるため本年度中にNAFLD重症化の予後予測に重要なエクソソームmiRNAの同定や予後予測式が完成すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究試薬を無駄なく高率的に使用するためエクソソーム単離やmiRNAの解析は一度に10件体ずつまとめて行う事としており、2018年6月初旬には追加の解析が可能であり、この時点でサンプル数が充足しNAFLD予後予測に有用なmiRNAの拾い上げ完了すると予測している。 次に絞り込んだmiRNAの標的遺伝子や臨床データとの関連性を詳細に解析し、必要に応じて患者検体を用いた生体物質の測定を追加して予後予測に重要なmiRNAを絞り込み、解析ソフトを用いて予後予測式を作成する。新たにリクルート、同意取得したNAFLD患者において予後予測式から重症化を予測し、患者の臨床データや肝生検の結果と照合し、予測精度を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり、解析のために必要な検体数が予定通りに集積できなかったため今年度は予定よりエクソソーム単離およびmiRNA解析に必要な試薬、消耗品費が少なかった。そのためその予算分を次年度に繰り越しているが、追加の検体収集は順調に進んでいるため年度開始2ヶ月以内に使用する予定です。
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