2017年5月から2019年6月までに保管したPseudomonas aeruginosa臨床分離菌株およびAcinetobacter baumannii臨床分離株について、2003年以降保管している薬剤耐性臨床分離株と併せ解析の対象とした。薬剤耐性責任遺伝子のPCR法、さらにはlong-read sequencerで完全ゲノム配列を用いて解析した(現在も解析中)。また、我々は排出ポンプの重要性に着目し、ポンプ機能を抑制するポリクローナル抗体を見出した。本抗体はin vitroではPAO1のみならず、Multilocus Sequence Typing (MLST)のタイプが異なるMDRPすべてに抗菌作用が確認できた。しかしながら、当該ポリクローナル抗体からモノクローナル抗体を作製した結果、当初確認できた抗菌作用はいずれの抗体からも認められなかった。同様の手法を用い、A. baumanniiについても抗菌作用のあるポリクローナル抗体を作製することができたが、モノクローナル抗体にした場合同様の効果があるか確認が必要である。将来的にはヒトへの応用のみならず、何らかの簡易迅速診断キット等への応用を念頭に、ペプチド、モノクローナル抗体の選別を引き続き実施している。 伴侶動物における表層の細菌感染に対しては、UVフラッシュ照射の効果を検討した。検討のために、熱傷マウスの作製を2017年度より取り組み、瘢痕化を残さず完全に治癒するII度の熱傷マウスの作製を安定して作製する方法を確立した。さらに、II度熱傷に各種病原細菌を接種して感染マウスの作製に取り組んだ。
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