研究課題/領域番号 |
17K08992
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
尾田 高志 東京医科大学, 医学部, 教授 (90531187)
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研究分担者 |
山田 宗治 東京医科大学, 医学部, 講師 (10625164)
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (30531355)
熊谷 裕生 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (50170048)
大澤 勲 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (60407252)
村越 貴子 (浅野貴子) 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 小児科, 助教 (70573666)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 補体 / 古典経路 / ANCA関連腎炎 |
研究実績の概要 |
補体系は感染防御の重要な構成要素であるが、その過剰な活性化は組織障害性に働くことが知られている。そこで感染と関連した腎疾患における補体による腎障害機序の検討を進めている。当初、対象疾患として感染関連糸球体腎炎の解析を進める予定であったが、東京医科大学八王子医療センター及び防衛医科大学校腎臓内分泌内科に保存されている感染関連糸球体腎炎の腎生検凍結組織を調べたところ、非常に限られており解析できる十分なサンプル数に及ばないことが判明した。そこで対象疾患をANCA関連腎炎に変更することとした。20例のMPO-ANCA陽性MPA患者を対象として、腎生検組織と血清を中心に解析を進めてきた。腎生検組織に関して、C4d, C5, C5b-9はほぼ全例で陽性であったがMBLはほぼ全てのサンプルで陰性であり、おそらく古典経路を中心とする補体活性化が起こり、終末経路まで活性化が進んで腎組織障害に関与している可能性が示唆された。そこで、血清を使用して、古典経路の活性化と関連する分子の変動を、ELISAで解析したところ、古典経路を誘導する免疫複合体が高率に存在することが判明し、免疫複合体が補体の古典経路を誘導し終末経路の活性化までつながる結果が得られた。さらに、免疫複合体の存在と、ANCAの抗体親和性とが正の相関することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた対象疾患である感染関連糸球体腎炎の患者さんの腎生検凍結組織の保存が非常に限られており、解析できる十分なサンプル数に及ばないことが判明したため、当初の解析予定疾患を変更して解析を進めた。さらに、組織染色用に購入した一連の蛍光標識補体関連蛋白抗体が不良であったことで、研究に大きな遅れが生じた。さらに、研究代表者の尾田が三多摩腎疾患治療医会の災害対策委員長や、東京都透析医会の災害対策委員、病院の内科系代表教授、内科新専門医制度のプログラム責任者など多くの役職に付き、他の業務へのエフォートが急増し、COVID-19への対応も重なり、予定通りに仕事が進まなかった。全体に研究の進捗は著明に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
血清に関して、Wieslabのキットを用いた補体の活性化の評価結果は不安定であったが、C5a, 可溶性C5b-9のアッセイキットを用いたELISAの系は安定しており、血清中の終末経路の活性化を証明できた。この活性化と血中免疫複合体の存在とに有意な関連がみられることから、補体活性化の開始はおそらく古典経路を介するものと考えられる。そこで、今後、古典経路の活性化の元になる抗原の同定をWestern blottingで解析を進める。さらに、感染関連腎炎の試料を収集し、同様のステップで検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の尾田が他の業務へのエフォートが急増し、予定通りに研究業務を進められなかった。そのため、研究試薬の購入など業務と関連した支出が減って差額を生じた。残った検討事項として、ELISAとWestern blottingによる解析を実施する予定であるので、各種ELISAキット、Western blot用の試薬の購入に大半の支出を考えている。
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