研究課題/領域番号 |
17K08993
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
渡部 琢也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30297014)
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研究分担者 |
佐藤 健吾 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (70549930)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペプチド / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
ヒト新規ペプチドのVasostatin-1およびVaspinの動脈硬化抑制作用を世界で初めて明らかにするため、我々が最も得意とする基礎および臨床の両面からなるトランスレーショナルリサーチを行って検証した。 1. ヒト血管壁細胞を用い動脈硬化抑制作用をin vitroで検証:動脈硬化の主要現象である内皮細胞の炎症、マクロファージの泡沫化、平滑筋細胞の遊走、細胞外マトリックス(コラーゲン3、フィブロネクチン)の産生に対して、Vasostatin-1は抑制的に働いた。また、Vaspinは、マクロファージの泡沫化、平滑筋細胞の遊走・増殖を抑制した。 2. 動脈硬化モデル動物への投与にて動脈硬化抑制作用をin vivoで実証:Vasostatin-1またはVaspinをアポE欠損マウスに浸透圧ポンプを用い4週間投与したところ、大動脈における動脈硬化病変の進展を有意に抑制できた。 3. 動脈硬化患者における臨床的検討:橈骨動脈の中膜のメルケベルグ硬化病変内においてVasostatin-1の発現は増加していた。また、Vaspinは冠動脈病変内に強く発現していた。これらは、動脈硬化の進展に抗うように反応性に増加していたものと推測された。 以上から、Vasostatin-1およびVaspinは、動脈硬化抑制作用を有していることが明らかになリ、動脈硬化に対する予防・治療薬の可能性が高いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者や連携研究者の全員が自分の役割をしっかりと果たし協力し合ったことで、実施計画は全般的にみて順調に遂行されていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は臨床研究を基盤に、Vasostatin-1を用いた冠動脈疾患のバイオマーカーの有用性の検討および同疾患に対する予防・治療薬の開発(創薬)を堅実に遂行していく。 1. 冠動脈疾患のバイオマーカーとしての有用性の検討:急性冠症候群患者200例、非冠動脈疾患患者100例、健常者50例において、Vasostatin-1の血中 濃度および冠動脈造影所見の重症度との関連を詳しく解析する。更に、Receiver Operati ng Characteristics (ROC) Curveを描き、Area Under the Curve (AUC)を求め、冠動脈疾患に対するバイオマーカーとしての精度を検討する。 2. 動脈硬化治療薬の開発(創薬):Vasostatin-1のアミノ酸配列において抗動脈硬化作用を有する活性中心を含みかつ副作用の無い低分子アナログ製剤を精製し、動脈硬化治療薬の開発を進めていく。並びに、ナノカプセル等のドラックデリバリーシステムを開発していく。 3. 研究成果をまとめて発表:学会やシンポジウムでの発表、国際学術誌に論文を執筆・投稿していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度境に差し掛かる時期の論文掲載料として確保しておりました。論文掲載料として必ず使用致します。
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