研究課題/領域番号 |
17K08995
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
石井 潤一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70222940)
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研究分担者 |
成瀬 寛之 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (50319266)
松井 茂 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (20308901) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内科系心臓集中治療室 / 急性腎障害 / L型脂肪酸結合蛋白 / 好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン |
研究実績の概要 |
急性腎障害(AKI)は内科系心臓集中治療室(CICU)において高い頻度で起こりうる合併症の一つである。AKIの診断は血清クレアチニン濃度上昇および尿量減少に基づくものが一般的であるが、一方、血清クレアチニンが筋肉量の影響を受けることやAKI初期の上昇がみられないケースなど感度や特異度に関する問題が指摘されている。そのため、AKIをより鋭敏に診断可能な“L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)”や“好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)”などの尿細管障害マーカーの導入が求められている。 我々は上記の尿細管障害マーカーとして、CICU入室時の尿中L-FABP値がAKI発症における独立した早期の発症予測因子であることを報告した。本年度は、内科系CICU入室患者の604例(平均68歳、[23-83歳])において、尿中NGAL値を測定し、尿中L-FABP値と予後予測における有用性を比較検討した。 登録後24ヶ月の追跡期間中に、96名にイベントが発生した(全死亡者数:88名、末期腎不全患者数:8名)。多変量Cox回帰分析の結果では、尿中NGAL値ではなく、尿中L-FABP値が予後の独立した予測因子であった。またBNPを加えた確立されたリスク因子による評価モデルに尿中L-FABPを追加し、純再分類改善度(NRI)と統合識別改善度(IDI)を評価したところ、そのイベントに対する予測能が有意に向上した。一方、NGAL値を加えてもイベント予測能の向上は認められなかった。 本年度の結果から、内科系CICU入室時における尿中L-FABP値は尿中NGAL値より予後の予測に有用であると考えられた。
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