研究課題
オミックスデータ可視化システムの構築血漿高比重リポ蛋白(HDL)の低値は、虚血性心疾患の独立した危険因子である。HDLは、コレステロール逆転送系における役割の他に、抗酸化作用・抗炎症作用などの多面的抗動脈硬化作用がある。HDLの働き(機能)は、HDLの蛋白質の組成によって異なることが知られている。質量分析技術の進歩により、HDL粒子に脂質輸送、炎症反応、免疫機能などに関わる十数種類のアポリポ蛋白と百種類以上の表在蛋白を持つことが分かってきた。HDL粒子が密度、荷電、サイズの異なる集合体であり、HDLのサイズによる亜分画のHDLプロテオームが異なることが報告されている。しかし、HDL粒子は血液中において様々な修飾を受けることが知られている。HDLの主要蛋白であるアポリポ蛋白A-1が酸化修飾を受けると、HDL がdysfunctionalになることが報告されている。n-6系多価不飽和脂肪酸アラキドン酸から活性酸素種の攻撃による酸化産物8-イソプロスタンは、生体酸化ストレスのマーカーとされている。しかし、8-イソプロスタンは数多くの立体異性体および位置異性体が存在する。さらに、n-3系多価不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸からも活性酸素種の攻撃により数多くのイソプロスタンが産生される。それらのイソプロスタンは、LC-MS/MSによる網羅的分析が可能である。本研究は、アラキドン酸とエイコサペンタエン酸から産生されるイソプロスタンの臨床意義を検討することを目的としている。脂肪組成の異なる食事を摂取した肥満患者のHDL亜分画のプロテオームデータを解析し、オミックスデータの可視化システムを構築中である。
2: おおむね順調に進展している
脂肪組成の異なる食事を摂取した肥満患者のHDL亜分画のプロテオームデータを解析し、オミックスデータの可視化システムを構築中である。
H30年度に、LC-MS/MSによるイソプロスタンプロフィールを分析し、HDLプロテオームとの関連を検討する。
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