研究課題/領域番号 |
17K09006
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柴崎 康彦 新潟大学, 医歯学総合病院, その他 (50568540)
|
研究分担者 |
成田 美和子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30281009)
増子 正義 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70397115)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象に、混合リンパ球ペプチド培養法 (Mixed lymphocyte peptide culture: MLPC)によるWT1特異的細胞傷害性T細胞(CTL) の検出を試みた。昨年度は約5名の症例に実施したが、そのうちMDS患者1名で、WT1特異的CTLの検出に成功した。MDS患者において、MLPC法によるWT1特異的CTLを検出した初の症例と考えられる。 本症例では、メチル化阻害剤による治療前には陰性であったCTLが治療後に陽性となり、骨髄中の芽球比率の低下を認めた。このことは、メチル化阻害剤による治療において、CTLの検出が治療効果と関係する可能性を示唆している。また、WT1特異的CTLがメチル化阻害剤の治療効果を増強する可能性も示唆しており、免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法を開発する上で基礎的なデータとして重要であると考えられる。本症例は同種移植後にもWT1特異的CTLが陽性となり、現時点で寛解を維持している。移植前と移植後ではリンパ球はレシピエントからドナーに入れ替わっているため、検出されているCTLの由来は異なる。現在、移植前および移植後のCTLについて、レパトア解析やクローニングを試みており、それらの違いや共通点を明らかにし、MDSに対する腫瘍免疫を評価する基盤とする。 また、比較的長期にわたって寛解を維持しているAML/MDSの患者においてもMLPC法によるWT1特異的CTLの検出を試みている。これによりWT1特異的CTLの多様性や免疫学的効果の違いを評価することが可能となる。MLPC法はCTLの定量的評価を行うことも可能であることから、移植後のWT1特異的CTLの陽性率を調べることで、予後との関連について評価することが可能と考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者リクルートは比較的順調に進んでいる。 MLPC法によるWT1特異的CTLの検出に成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き患者の登録を行うとともに、確認されたWT1特異的CTLを用いて、以下の項目に付き評価を行う。 1.WT1特異的CTLのTCR配列の同定 2.抗PD-1抗体により、WT1特異的CTLの細胞障害活性が増強されるか 3.WT1特異的CTLと予後との関連
|
次年度使用額が生じた理由 |
決算日が昨年度、支払日が本年度の物品があり、実際の繰越金は殆ど無く、予算どおり使用している。
|