研究課題
患者のリクルートが順調なため、よりコホートの質を高めるため対象を骨髄異形成症候群(MDS)患者に絞り、混合リンパ球ペプチド培養法 (Mixed lymphocyte peptide culture: MLPC)によるWT1特異的細胞傷害性T細胞(CTL) の検出を試みた。本年度は約15名の症例に実施したが、そのうち2名で、WT1特異的CTLの検出に成功した。昨年度は1例でWT1特異的CTLの検出に成功したが、本年度も検出が可能であったことから、WT1特異的CTLが検出できるMDS症例が複数存在することが確認できた。また、本年度はMLPC法の改良のため、培養液に付加する各種サイトカインの見直し、培養期間や培地の見直しを行い、WT1特異的CTLの検出率、増幅効率の改善を図った。これにより、CTLの細胞表面抗原の精査、クローニングやレパトア解析がより効率的に行うことが可能となった。また、陰性適中率も向上していると考えられるため、MDS症例においてはWT1特異的CTLが検出できる症例とできない症例がそれぞれ存在することが明らかになったと判断している。本年度はCTLの細胞表面抗原の精査を重点的に行なった。近年、いくつかの細胞表面抗原が、T細胞の活性化の指標になることが判明してきており、CTL活性の間接的な証明になることが示されている。わずかなCTL細胞数であっても細胞表面抗原検査を行うことでCTL活性を評価できることから、それらの表面抗原検査を本研究においても行っており、実際に多くのWT1特異的CTLがこれらの細胞表面抗原を発現していることを確認している。
2: おおむね順調に進展している
患者リクルートは比較的順調に進んでいる。骨髄異形成症候群の複数の患者において、MLPC法によるWT1特異的CTLの検出に成功している。より効率的なMLPC法の確立を試みており、従来に比べWT1特異的CTLの増幅効率が上昇している。
引き続き患者の登録を行うとともに、以下の項目に付き評価を行う。WT1特異的CTLのレパトア解析、クローニングを引き続き続ける。WT1特異的CTLが検出できる症例とできない症例の予後につき検討を行う。上記内容につき、論文化を行う。
繰越額は少額であり、特に計画の変更はない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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