研究課題/領域番号 |
17K09008
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 金夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20242662)
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研究分担者 |
金子 誠 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (00377491)
高野 勝弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (60382925)
井上 克枝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬効モニタリング / 血小板凝集能 / シロスタゾール / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
我々は抗血小板薬シロスタゾールの薬効モニタリング法を構築し、用手法(ヘマトレーサー)にて測定を行ってきた。本研究では、既存の自動分析装置(CS2000i)において測定できるように測定系を再構築し、非心原性脳梗塞患者を対象として血小板機能抑制の程度と出血性副作用や血栓症の再発との関連について解析し、出血および血栓症に対するカットオフ値を設定する事を目的としている。 本研究開始前の予備調査において、用手法と自動分析装置との血小板反応性の違いが認められていたことから、最初にアラキドン酸ナトリウムならびにTRAPを血小板活性化物質とし、両測定法の反応性の差異について比較した。いずれの血小板活性化物質においても、用手法と比較して自動分析装置において血小板反応性が高かった。in vitroでのシロスタゾール存在下でのPGE1による血小板凝集能の抑制は、用手法ではこれまでと同様に観察されたが、自動分析装置ではPGE1による抑制が見られないことが多く、両測定法において、PGE1による抑制の乖離が見られた。 乖離の原因として、PGE1非存在下でも自動分析装置で血小板反応性が高いことに注目し、血小板浮遊液(Platelet-rich plasma; PRP)の撹拌条件ならびに透過光の波長を複数の条件で測定して血小板反応性に対する影響を評価した。その結果、透過光の波長はいずれの条件でも類似の反応性を示した一方で、撹拌条件では、回転数に依存して反応性が低下した。これらの結果から、用手法と同程度の反応性を示す条件を設定し直すことを次年度の検討課題とし、撹拌条件を変更することでシロスタゾールの薬効モニタリング法の測定法再構築を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
両測定法間の血小板反応性の乖離は、研究開始前から想定していたが、シロスタゾール存在下でのPGE1に対する抑制効果には大きな影響を与えないであろうと予想していた。しかしながら、用手法ではPGE1存在下では血小板凝集が抑制されるにもかかわらず、自動分析装置で抑制されないことが多かった。その原因を探るため、当初の予定にはなかった自動分析装置の撹拌条件及び測定波長条件を検討することに多くの時間を要することとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
用手法と自動分析装置との血小板反応性の差異において、自動分析装置の撹拌回転数が非常に重要であることから、用手法と同程度の反応性を示す条件を設定し直すことを最優先の検討課題とする。その後、再設定した条件下で、アラキドン酸ナトリウムによる血小板凝集抑制を指標として、TRAP惹起血小板凝集によるシロスタゾールの薬効評価条件について再検討する。当初の計画よりやや遅れているので、これらの条件について年度早期に解決し、シロスタゾール服用患者での本評価法の検証を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗がやや遅れており、29年度中に実施予定であったシロスタゾール血中濃度測定が実施できなかったこと、ならびに異動による勤務形態の変更で学会に参加できず、それらに対応した予算を執行しなかったため。これらの予算はシロスタゾール血中濃度測定および学会旅費として使用する。
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