研究課題/領域番号 |
17K09009
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奥村 伸生 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60252110)
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研究分担者 |
平 千明 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (40779310)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フィブリノゲン / フィブリン重合反応 / aホール / Ca結合部位 / D:D結合能部位 / A:a結合 / B:b結合 |
研究実績の概要 |
【背景】フィブリノゲン(Fbg)はトロンビンによるフィブリノペプチド放出により,knob‘A’とhole‘a’のA:a結合,knob‘B’とhole‘b’のB:b結合,D:D結合でにより重合し,フィブリンを形成する.Fbgγ鎖D領域のこれらの部位が重合反応に関与する.我々はCa結合部位に変異を持つγΔN319D320Fbgの機能異常のメカニズムを明らかにする研究を行った. 【方法】γΔN319D320の機能異常の原因をhole‘a’機能が障害され重合反応が大幅に遅延するγD364HFbgと比較した.フィブリノペプチド放出能,フィブリン重合反応,走査型電子顕微鏡によるフィブリン線維の観察を実施した.さらに,プロトフィブリル形成能,hole‘a’機能,Ca結合能,D:D結合能を解析した.また,構造変化を予測した. 【結果】γΔN319D320は高濃度トロンビンと24時間反応させても重合反応が完全に欠如した.一方,γD364Hは高濃度トロンビン添加後2時間で緩徐な重合反応が認められた.さらに,γΔN319D320はhole‘a’機能,D:D結合能,Ca結合能のいずれも顕著に低下しており,プロトフィブリル形成が阻害されていることが明らかになった. 【考察】A:a結合が障害されているγD364Hは,B:b結合により緩徐に重合すると報告されていることから,重合反応が欠如するγΔN319D320は,A:a結合とB:b結合の両方が障害されていると推測した.γΔN319D320はhole‘a’,D:D結合部位,Ca結合部位の構造が変化するのみならず,γ鎖D領域全体の変化を惹起すると推察される.この構造変化が,隣接するBβ鎖D領域に存在するhole‘b’開口部の位置や方向に影響を及ぼし,hole‘b’とknob‘B’の距離や方向が変化することで,B:b結合が障害されると推察した.
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