研究実績の概要 |
昨年までの検討で、特にラット正常甲状腺組織から採取した細胞やヒト正常甲状腺組織から採取した細胞では明確な細胞分画の同定が困難であった。そこで組織や細胞株から作成したコントロール検体を使用してFACSにおける免疫染色の最適化について検討することとした。検出する蛋白は従来は甲状腺の胎児性細胞で発現量が変化することが予測されるサイログロブリン、TTF-1、N-Cadherinの3種類であったが、さらに甲状腺の発生初期から発現している特異的蛋白であるNISを追加した。サイログロブリン、TTF-1を発現するFRTL-5細胞株、サイログロブリン、TTF-1、NISを発現するヒト正常甲状腺組織由来の細胞、N-Cadherinを発現する8305C細胞株、TTF-1を発現するPC3細胞をコントロールとして用いた。これら4つの蛋白について、それぞれFluorescein,APC,PE-Cy7, R-PEを割り当て、抗体濃度や染色条件をこれらの細胞が明確に区別できるように最適化し4重測定を確立した。ラット正常組織から採取した細胞、ヒト正常甲状腺組織から採取した細胞について、RNA inhibitorとDTTを加えた緩衝液を適宜使用して4重染色を行い、細胞内RNAを保持した状態でFACSを実施した。ラット正常組織の細胞、およびヒト正常甲状腺組織の細胞のそれぞれで特定の蛋白の発現パターンを示す分画が確認されたため、これらの分画をソーティングし、ISOGEN-LS中に回収して、RNAを抽出後、回収されたRNAのクオリティーをAgilent 2100 Bioanalyzerにて解析した。
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