研究課題
転写共役因子MED1により発現が制御されるGla化蛋白MGPは骨髄の間葉系間質細胞に多量発現するが、その造血における役割は何も知られていない。そこで、MGPに注目し、間質細胞のMGPが造血細胞に与える影響を検討した。骨髄間質細胞と骨髄造血細胞との共培養では、MGPをブロック抗体で阻害すると、血球数が低下した。また長期共培養後にILC-IC数を計測したところ、MGP阻害により、コロニー数が減り、とくにUFU-GEMMが著減した。正常血球の発現はほぼゼロであった。以上のことから、間質細胞のMGPは正常造血幹・前駆細胞を支持することが強く示唆される。MGPはGla化を受けてBMP-4やBMP-2と結合すること、Gla化MGPがBMP-4/2の受容体を介して細胞内にシグナルが伝達されることが知られている。しかし、リコンビナント蛋白を用いた生化学的実験、および哺乳類Two-hypridアッセイを用いて結合を検討したところ、Gla化を受けないMGPがBMP-4/2と有意に結合した。ワーファリンはGla化を特異的に阻害することから、臨床で抗凝固療法に繁用されている。そこで、ワーファリンを用いて共培養系のGla化を阻害したところ、血球の増殖等の性質に変化はなかった。このことから、造血支持能におけるMGPの機能は、Gla化に依存しないことが強く示唆され、これまで知られているMGPによる石灰化抑制の生理機能とは異なる機序が存在する可能性が強く示唆された。さらに、白血病細胞を用いて同様のアッセイを行い、MGPが白血病幹細胞の増殖や性質維持に必要であることを明らかにした。一方、正常造血と異なり、共培養した間質細胞のBMP-2の発現が強く抑制され、また白血病細胞自身が異所性にMGPを高発現した。以上は、白血病特異的ニッチを特徴づけるものかもしれない。
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