研究実績の概要 |
猫ひっかき病(CSD)の原因菌はBartonella henselae である。本菌の分離は極めて困難なため、CSDの診断は血清学的診断法が有用であり、本研究の第一目標はELISA法による特異B. henselae IgM抗体価測定法を確立することである。研究1年目では独自に改良したウエスタンブロット(WB)のCSD患者血清と健常人血清について解析を行った結果、8-10kDa,31-35kDa, 70kDaが主要なバンドであり、その半数は8-10kDaであることが判明した。その8-10kDaについてMALDI/TOFMSを用いた質量分析法解析より、遺伝子(6種類)を同定した。研究2年目では同定遺伝子を解析後、大腸菌による蛋白質作製を行い、患者血清との反応(IgM-WB)を試みたがいずれも不成功に終わった。そこで再度8-10kDaの解析を行ったところ、12種類の遺伝子の候補が得られ、うち8種類の遺伝子( 8, 9, 10, 20, 26, 38, 44, 58kDa)が抽出できた。これらを解析後、今回は無細胞蛋白質合成を行い、患者血清との反応を試みたが今回も反応は認められなかったが蛋白合成手法の改良により同定が期待される。
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