研究課題/領域番号 |
17K09014
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
森下 朝洋 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60423430)
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研究分担者 |
谷 丈二 香川大学, 医学部, 協力研究員 (00596075)
正木 勉 香川大学, 医学部, 教授 (30335848)
藤田 浩二 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50749421)
野村 貴子 香川大学, 医学部, 助教 (70645415)
米山 弘人 香川大学, 医学部, 助教 (80294750)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロRNA / ガレクチン9 |
研究実績の概要 |
1.WTマウスを用い、STAMマウスを作製、4週目より高脂肪食を与えたマウスに週3回90μg/日のガレクチン9を腹腔内投与、9週目(肝線維化出現)と16週目(肝細胞癌出現)に犠死させ、それぞれ肝組織内の脂肪化、炎症、線維化、肝細胞癌の有無、サイズを計測した。投与群、非投与群の肝臓を用いそれぞれマイクロRNAを抽出、ガレクチン9投与群にて著明に増減しているマイクロRNAを同定した。 2.ガレクチン9欠損マウスを用いSTAMマウスモデルを作成し、上記1と同様に犠死させ、それぞれ肝組織内の脂肪化、炎症、線維化、肝細胞癌の有無を解析した。また、マイクロRNAを抽出、ガレクチン9の欠損によって特異的に増減しているマイクロRNAを同定した。 3. WTとガレクチン9欠損マウスの骨髄由来マクロファージを用いて、脂肪性肝炎時に脂肪細胞から分泌されるレプチン存在下でLPSを培養液に濃度別に投与し、免疫応答の代表的な分子であるCD14とTNFαを測定したところ、ガレクチン9欠損マウス由来のマクロファージではそれらの著明な亢進を認めている。よって、NASH改善効果に大切な役割を果たすM2様マクロファージ (肝ではクッパー細胞)において、ガレクチン9の分泌を制御ことが重要であることを見出し、それに関与するマイクロRNAを同定した。 4.同定したマイクロRNAのターゲット遺伝子をData baseから推定し、その遺伝子の発現調節を解析し、ガレクチン9のM2様マクロファージ内の下流シグナルを同定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガレクチン9欠損マウスからのSTAMマウスを作製する際に、生後48時間以内にストレプトゾトシンを注射しなければならず、breedingに少し手間取り、少し作成時間が長めになっている。ただし、STAMマウス自体は順調にNASHの進展、発癌モデルとして十分な役割を果たしており、ガレクチン9ノックアウトマウスの骨髄細胞も比較的安定しているため、マイクロRNAやそのターゲット遺伝子の解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
NASH進展およびNASH発癌において特異的に発現減弱するターゲットマイクロRNAのアデノウイルスベクターを用いた肝特異的レスキューモデルによるin vivoでの機能解析を行う。 平成29年度の実験により得られたマイクロRNAプロファイルより、共通する真のターゲットマイクロRNAを解析、同定してゆく。そのマイクロRNAをCMVプロモーターのあるアデノウイルスベクターにサブクローニングし、高力価にしたあとに、STAMマウスの5週目のNASH形成直前に尾静脈より静注し、肝細胞に強発現させる。その後肝組織での脂肪化、炎症、線維化等おNASH進展の度合い、また肝発癌の状態を経時的に解析しているが、現時点ではその尾静脈注射の注入量の安定化がやや難しく、今後手技を安定化させることを改良している。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の他の科研費より、平成30年度の共通の実験に必要な物品の購入があり、重なっていたため、平成31年度以降の予算に移行致しました。またデータの集積や解析に時間がかかり、初年度(平成29年度)に論文や、学会発表は行っておらず、旅費も平成31年度以降に繰り越しております。
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