研究課題
WTマウスを用い、STAMマウスを作製、4週目より高脂肪食を与えたマウスに週3回90μg/日のガレクチン9を腹腔内投与、9週目(肝線維化出現)と16週目(肝細胞癌出現)に犠死させ、それぞれ肝組織内の脂肪化、炎症、線維化、肝細胞癌の有無、サイズを計測した。投与群、非投与群の肝臓を用いそれぞれマイクロRNAを抽出、ガレクチン9投与群にて著明に増減しているマイクロRNAを同定した。また、ガレクチン9欠損マウスを用いSTAMマウスモデルを作成し、同様に犠死させ、それぞれ肝組織内の脂肪化、炎症、線維化、肝細胞癌の有無を解析した。また、マイクロRNAを抽出、ガレクチン9の欠損によって特異的に増減しているマイクロRNAを同定した。次に、WTとガレクチン9欠損マウスの骨髄由来マクロファージを用いて、脂肪性肝炎時に脂肪細胞から分泌されるレプチン存在下でLPSを培養液に濃度別に投与し、免疫応答の代表的な分子であるCD14とTNFαを測定したところ、ガレクチン9欠損マウス由来のマクロファージではそれらの著明な亢進を認めた。よって、NASH改善効果に大切な役割を果たすM2様マクロファージ (肝ではクッパー細胞)において、ガレクチン9の分泌を制御ことが重要であることを見出し、それに関与するマイクロRNAを同定した。同定したマイクロRNAのターゲット遺伝子をData baseから推定し、その遺伝子の発現調節を解析し、ガレクチン9のM2様マクロファージ内の下流シグナルを同定した。さらに、ターゲットマイクロRNAをCMVプロモーターのあるアデノウイルスベクターにサブクローニングし、高力価にしたあとに、STAMマウスの5週目のNASH形成直前に尾静脈より静注し、肝細胞に強発現させる。その後肝組織での脂肪化、炎症、線維化等、NASH進展の度合い、また肝発癌の状態を経時的に解析した。