研究課題
最終年度においては、①野生型IMP-6の構造解析、及びIMP-1との基質特異性の違いに対する構造学的考察、②Y123N変異型酵素の低分解能の構造解析、の2点を行った。IMP-6は0.1 M MES (pH 6.5), 0.05 mM ZnSO4, 0.14 M ammonium sulfate, 25% polyethylene glycol monomethyl ether 5000の結晶化条件で結晶化し、SPring-8のBL44XUを用いて回折データを収集した。結晶の空間群はP212121、格子定数は、a=4.9146 nm、b=7.8434 nm、c=26.0431 nmであった。非対称単位中には4分子のIMP-6が存在し、分解能0.183 nmまでの構造を精密化した。既に構造が解析されているIMP-1と比較すると、全体構造はほぼ同一であったが、基質結合に関与すループ部分の構造が大きく異なっていた。IMP-1ではフリーの状態では、L3は開いた構造、基質/阻害剤が結合すると閉じた状態であるが、IMP-6ではフリーの状態でもIMP-1に比べ基質結合部位を大きく覆う構造であった。基質を結合させたシミュレーションを行うと、イミペネムはループ部分と立体障害を生じるため結合が妨げられることが予想された。このことが、メロペネムに比べイミペネムのKmが大きい理由であると考えられた。Y123N変異型酵素は0.1 M sodium acetate, 0.05 mM ZnSO4, 0.2 M ammonium acetate, 23% PEG4000の結晶化条件で結晶化し、大阪大学蛋白質研究所において分解能0.242 nmまでの回折データを測定した。構造解析を行ったところ、Asn123の位置するループ部分の自由度が増大したことが、基質特異性の違いに影響を与えることが示唆された。
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