MDS患者由来細胞株MDS92とその亜株は、MDSから急性白血病への流れを再現した一連の培養細胞モデルである。発端となった元患者骨髄細胞も加えた全エクソーム解析の結果、患者骨髄にTP53変異およびCEBPA変異が検出された。その培養中にNRAS変異が付加され細胞株樹立へとつながったと推定された。またMDS92から芽球用亜株へ移行する段階でHistone1H3C ドライバー変異が見出されたが、変異クローンの拡大はIL-3依存性で、IL-3非存在下では同変異のないクローンの存続が確認された。これら細胞株の遺伝子解析によって、MDSから急性白血病へ移行する分子機構解明への手掛かりが得られた。
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