研究課題
平成30年度は、前年度のインシリコ解析により見出されたRAGE拮抗薬候補化合物を評価するためのアッセイ系の構築を第一目標として研究を進めた。また、前年度の研究により見出されたRAGE阻害活性を有するヘパニリルフェニルアラニンについて、RAGEが関与する化学療法誘発性末梢新家障害モデルおよび各種内臓痛モデルにおける効果を検討した。○RAGE阻害活性評価系の構築:本年度は、マウス・マクロファージ由来RAW 264.7細胞およびマウス・ミクログリア由来BV2細胞において、RAGEアゴニストであるS100BおよびHGA(advanced glycation end-productsの一種)で刺激した場合のサイトカイン遊離を指標としてアッセイを行った。アゴニスト刺激によるサイトカイン遊離は認められたものの、既知のRAGE拮抗薬であるFPS-ZM1やアゼリラゴンによる抑制効果が単独では認められなかった。○ヘパリニルフェニルアラニンの効果について:種々の抗がん薬により誘起される化学療法誘発性末梢神経障害に対する予防効果が確認されているほか、内臓痛モデルでも検討が進んでいる。○新たなRAGE拮抗薬評価系についての検討:肝星細胞はRAGEを発現しており、その活性化により筋線維芽細胞に分化する。そこで、この実験系をRAGE拮抗薬の評価系に応用するための基礎実験を実施した。以上、RAGE拮抗薬のin vitro評価系の確立に予想以上時間がかかってしまったが、平成31年度はこれを克服し、候補化合物の活性評価を行った上で構造展開研究をスタートさせたい。
3: やや遅れている
RAGE拮抗薬のin vitroアッセイ系の確立が、予想以上に難しいのが最も大きな問題である。
当初は、RAGEをCHO細胞にトランスフェクトし、permanentあるいはtransientにRAGEを発現する細胞でのアッセイを計画していたが、現在は、元々RAGEを発現している細胞株を用いたアッセイ系の確立を目指して検討を重ねている。なお、候補物質のin vivoでの活性評価を並行して進めていく予定である。
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