研究課題
平成31年度~令和元年度は、インシリコ解析から選択したRAGE拮抗薬候補物質について、肝星細胞における筋線維芽細胞への分化およびbinding assay系におけるAGE-RAGE bindingに対する抑制効果を指標として検討を行った。さらに、前年度までの研究によってRAGE選択的拮抗薬であることが判明したヘパニリルフェニルアラニン(HP)について、内蔵痛モデルでの有効性評価を行った。1) AGE-RAGE binding assay系を用いたRAGE拮抗薬候補物質の評価:既知のRAGE拮抗薬のうち、azeliragonはAGE-RAGE bindingを濃度依存的に阻害した。一方、FPS-ZM1は、AGE-RAGE bindingを全く抑制しなかった。そこで、インシリコ解析から選択したRAGE拮抗候補物質KTGcNS-1~8について評価を行ったところ、KTGrNS-5およびKTGNS-8に阻害活性が認められた。2)肝星細胞における筋線維芽細胞への分化を指標とした評価:肝星細胞の筋線維芽細胞への分化にRAGEが関与することから、肝星細胞由来HSC-T6細胞を用いてRAGE拮抗薬候補物質を評価したが、阻害効果は検出できなかった。3)RAGE拮抗薬HPの内蔵痛に対する効果:HMGB1-RAGE系が重要な役割を果たすbutyrate誘発結腸痛覚過敏に対して、HPは強い抑制効果を示した。研究の最終年度である今年度、AGE-RAGE binding assayを用いて2つのRAGE拮抗薬を見出すことができた。一方、昨年までに選択的RAGE拮抗作用を示すことを明らかにしたHPが、化学療法誘発性末梢神経障害に加えて、結腸痛覚過敏にも有効であることが判明したことより、今後はHPの臨床応用に向けてさらに検討を重ねていきたい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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