本研究はまず、感覚神経細胞に発現する疼痛センサーTRPA1チャネルの内向き電流がAMPKの活性化によって抑制する現象を突き止めた。つぎに、AMPKが活性化すると神経細胞全体におけるTRPA1の発現量が変化しないものの、細胞膜上における発現量は減少することを明らかにした。さらに、糖尿病モデルマウスにおいて、知覚神経におけるAMPK活性の低下や機械刺激に対する疼痛過敏が血糖値に依存的に発生したことや、疼痛過敏はAMPKの活性化によって軽減することを明らかにした。 これらの結果は、生体におけるAMPKはTRPA1に対して負の制御を行うことを示唆し、有痛性糖尿病性神経障害の新しい発症機序を解明した。
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