研究課題/領域番号 |
17K09051
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
江藤 圭 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 助教 (30545257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 2光子顕微鏡 / 慢性疼痛 / 一次体性感覚野 / 触覚 / 痛み |
研究実績の概要 |
慢性疼痛は中枢神経系の可塑的変化によって生じる病態であり、触刺激に対して痛みを感じたり(アロディニア)、痛みに対する感受性が増強する(痛覚過敏)。疼痛関連領域の一つである一次体性感覚野(S1)では、神経活動・シナプス構造が劇的に変化することで疼痛が生じるため、触応答回路と痛み応答回路の混線や、痛み応答回路の可塑的変化が疼痛発生に寄与すると考えた。そこで、本課題では、2光子顕微鏡を用いたin vivoカルシウムイメージングによりS1神経細胞活動を可視化し、正常時に触刺激に応答する細胞と痛み刺激に応答する細胞が慢性疼痛時にその活動が触刺激、痛覚刺激でどのように変化するかを明らかにする。また、触・痛み応答細胞活動をそれぞれ抑制し疼痛行動への影響を調べ、アロディニアと痛覚過敏の脳内発生機構を明らかにする。H29年度は、触刺激装置の構築、熱を用いた痛み刺激装置の開発を行った。痛み刺激はペルチェ素子の温度を最適に制御することで行う。複数の脳深部領域から同時に画像を撮像するために、ピエゾ素子による対物レンズ制御を行う。当初、顕微鏡の制限により低速でしか画像を取得することができなかったが、顕微鏡メーカーと共同で対応することで、画像撮像速度を大幅に向上することができた。この手法では多数の神経細胞の活動を計測することができ、データ量が膨大であるため、自動解析システムが必要である。そこで、matlabを用いて解析用プログラムを作成し、半自動的に神経活動を解析する系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度は実験に必要な刺激装置、計測系、解析の構築を行い、感覚刺激によるデータも出始めており、当初の計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、H29年度に構築した手法を用いて、触刺激と痛み刺激に対して一次体性感覚野神経細胞がどのように応答するかを検討する。また、慢性疼痛によってその活動がどう変化するかも明らかにする。
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