研究課題/領域番号 |
17K09054
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
照沼 利之 筑波大学, 医学医療系, 助手 (40361349)
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研究分担者 |
榮 武二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60162278)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マーカーレス腫瘍追跡 / ディープラーニング / 画像認識 / データ拡張 / X線透視画像 / 画像誘導放射線治療 / 輪郭抽出 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、次世代の放射線治療に必要な低侵襲マーカーレス腫瘍追跡照射のための高信頼性を有する新たな追跡アルゴリズムの精度検証を進めることである。教師あり深層学習の特徴(訓練画像と教師画像間の共起確率の高い特徴を重要な特徴として抽出しやすい)を利用して、腫瘍を含む軟部組織を重要な特徴として認識し、骨構造を重要でない特徴と認識する効果を生成する訓練用画像生成方法を開発した。この提案方法は特定の1患者情報から多数の非線形関係にある訓練用画像を生成可能であり、患者特定のディープラーニングを実行できることが優れている。 今年度は呼吸性移動を再現する動体ファントムを使用した実証試験を実施した。標的の重心及び形状の追跡精度が要求性能を満たすことが確認された(成果を学会発表予定)。 ディープラーニングの効率的な学習のために、昨年に引き続き訓練用DRR(ディジタル再構成放射線画像)の画質向上プログラム作成に取り組んだ。DRRにX線散乱効果とビームハードニング効果を含めることが出来た。さらにDRRの画像分解能の改善にも取り組みその改善効果が認められた(成果を学会発表予定)。これらの研究結果により、訓練用DRRと試験用画像である臨床X線透視画像との画像類似性が格段に向上した。暫定的結果として、マーカーレス腫瘍形状追跡の精度が向上することが確認された。 次年度は研究期間最終年度であり、より多くの臨床X線透視画像を使用した精度検証を進め、本提案法の実現可能性実証をさらに進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に沿って、ディープラーニングの効率的な学習のための訓練用DRR(ディジタル再構成放射線画像)の画質改善プログラム作成に取り組んだ。DRRにX線散乱効果とビームハードニング効果を含めることが出来た。 さらに研究を進めて、DRRの画像分解能の改善にも取り組みその改善効果が認められた。これらの研究結果により、訓練用DRRと試験用画像である臨床X線透視画像との画像類似性が格段に向上した。暫定的結果として、マーカーレス腫瘍形状追跡の精度が向上することが確認された。 上記は、本提案法が高精度かつ高信頼性を有する腫瘍追跡技術であることを示唆する良好な結果であり、臨床実現に向けた非臨床POCに繋がる成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究期間最終年度であり、より多くの臨床X線透視画像を使用した精度検証を進め、本提案法の実現可能性実証をさらに進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を効率良く推進するために深層学習用の計算機環境が必要であった。深層学習は技術開発の激しい分野であり、どのメーカーのハードウェア・ミドルウェア・ソフトウェアが最適な開発環境であるかを研究開始年度のH29年度に見極める必要があった。その結果H29年度予算では適切な開発環境が整備できないことが判明し、該当年度に前倒し支払い請求を行った。このためH30、H31年度使用額に減額が生じることになったが、H29年度に整備された適切な計算機環境によって、当初の想定以上に効率的に研究目的の臨床X線透視動画での腫瘍形状追跡アルゴリズムの精度検証を進めることが可能となっている。
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