研究課題/領域番号 |
17K09057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄一 東京大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (70420221)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | g-raio / ミエリン / 軸索 / tractography / 腫瘍鑑別 / DKI |
研究実績の概要 |
脳外科手術前脳腫瘍患者9名を撮像対象とし、神経伝達速度や髄鞘化の指標として用いられているg-ratioの画像化することを目的とした。前年度に検討し報告した方法(ミエリンに関して は、qMT法よりも簡便にミエリンを画像化できるMTsaturation(MTsat)法を、軸索に関してはNODDI法を用いて画像化し、これらを用いてg-ratioを算出)にて画像収集および作成を行った。全例で、g-ratioの算出および画像化が可能であった。 またg-ratio画像作成途中で算出できる画像(MTsatは高分子化合物を反映する画像と細胞密度や細胞の複雑さを表現できるDiffusional kurtosis imaging; DKI)を用いて脳腫瘍鑑別が可能か検討することを目的とした。それぞれの定量値(MTsat、DKI)単独で用いるよりも脳腫瘍鑑別の精度が向上することが分かった。2つのパラメータを散布図にすることで、グリオーマは悪性度が上がるほど、DKIとMTsatが上昇し、PCNSLはDKIが幅広く分布しグリオーマとは異なる傾向を示した。この内容をまとめ第46回日本磁気共鳴医学会大会にてポスター発表し報告した。 また昨年度、報告した健常人でのg-ratioの左右差に関して比較検討より得られた知見(錐体路ではg-ratioに左右差は認められなかったが、言語関連線維の弓状束およびfrontal aslant tractは統計学的に有意な差が生じたこと。どちらもg-ratioは、左脳が低値であったこと。各線維毎での比較において、ミエリン容量比較全てで有意な差が認められ、線維毎のミエリン量の違いが示唆されたこと)に関して第74回日本放射線技術学会総会学術大会での講演依頼にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MR g-ratioに関して、予定していた症例数の半分ではあるが9名の脳腫瘍患者に対し、撮像条件や解析条件を検討し、安定してMR g-ratioとそれに付随する定量値を算出することが出来たため。 また当初予定していなかった計算途中での画像(MTsatおよびDKI)が脳腫瘍鑑別の精度向上に寄与できる可能性が示唆されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の検討・実験で得られた撮像条件・解析条件を元に、脳腫瘍患者(脳腫瘍術前患者や放射線治療患者)において更に検討を進めていき、適宜最適化や本格的な臨床応用に向けての撮像時間の短縮化を検討していく。 脳疾患患者の術前および術後においても、本研究手法を用いることができるのか(何らかの術後変化や回復過程などのパラメータに成り得るのか)を検討していく。
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