研究課題/領域番号 |
17K09063
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小山 修司 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 准教授 (20242878)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線技術学 / 放射線計測 / フォトダイオード / 筋電計 / 無線 |
研究実績の概要 |
今年度は,2017年度に行った半導体検出器(フォトダイオード)の特性を基に,アナログーディジタル変換器を搭載した小型無線機の選定と導入,及びその試験を行った. 導入した小型無線機は,電池部分を除いて約25mm角のケースに入ったもので,非常に小型である.これに,半導体検出器を接続し小型無線X線線量計とした.なお,このデータは,Bluetooth規格で,遠隔のパソコンへ経時的に送られる様になっている. この小型無線X線線量計について,医療用X線装置を用いて,単位時間当たりのX線量(X線管電流)を変化させて照射したところ,測定量に比例性が成り立たなかった.そこで,半導体検出器から小型無線機への信号の増幅と,電流ー電圧変換をかねて,小型増幅器を作製し,追加したところ,前述の比例性が成り立った. 出来上がった小型無線X線線量計について,照射X線量(X線照射時間変化)に対する出力値の直線性,X線エネルギー変化(X線管電圧調整)に対する感度の依存性について調べたところ,いずれも良好な結果が得られた.また,半導体検出器のみでなく,増幅器及び小型無線機,全体にX線が照射された場合の出力値の影響について調べたところ,その影響は僅かであった. 使用した小型無線機は,良好な特性が認められたが,無線接続において不安定であったこと,データの収集時間間隔が少し粗いことから,再度,小型無線機の改善,もしくは,選定などについて見直す必要が認められた. なお,この際,装置全体のさらなる小型化が可能となれば,様々な放射線検査において,実際の患者撮影での応用が可能となると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度のX線選出素子として選定した球形太陽電池では,その構造上,X線の入射方向に対する感度の依存性が認められたため,フォトダイオード素子を背中合わせて接着し,周囲のケース(モールド樹脂)の角を切削したものに置き換えた. その半導体検出器(フォトダイオード)と小型増幅器,アナログ-ディジタル変換器搭載の小型無線機を一体とした小型無線X線線量計を作製した. 作製した小型無線X線線量計について,照射X線量(X線照射時間変化)に対する出力値の直線性,単位時間当たりのX線照射量(X線管電流)に対する感度の依存性,X線エネルギー変化(X線管電圧調整)に対する感度の依存性について調べた.なお,装置の各部品の配置が確定していないため,X線入射方向についての感度の依存性については,今後,調べる. また,使用した小型無線機においては,無線接続において不安定であったこと,データの収集時間間隔が少し粗いことから,再度,小型無線機の改善,もしくは,選定などについて見直すことで,当初の計画より,やや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
小型無線X線線量計の部品となる半導体検出器の特性や,増幅器の仕様については十分に把握できたので,これらの情報を基に,小型無線機について見直しを行う.その上で,再度,各種特性を調べ,実際の応用を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 小型無線機について,1台を導入し試験を行ったが,より安定した無線接続と,より性能の良いものが必要であることが判明したので,次年度使用額を残し,次年度支給額と合わせて使用することとした. (使用計画) 繰り越した金額について,本年度の支給額と合わせて,小型無線システム(筋電図システム)の購入に充てる.
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