本研究は,アテローム硬化症に伴う血管壁プラークの発生機序と組織学的性状を解明するために,核磁気共鳴画像(MRI)診断装置を使用して,生体内の血管壁プラーク内の組成の定量化および可視化を目的とする.令和元年度は,臨床データの取得を中心に,徳島大学病院倫理委員会の承認後,研究代表者の所属施設にあるMRI装置を用いて実施した.また.並行して平成30年度に作成したCEST評価ファントムをキャリブレーションに使用したB1強度補正するプログラムを開発した. 臨床データの取得に関して,撮像プロトコルを決定した.コントロールデータとして心電図同期を併用したBlack Blood(BB)T1強調画像(T1w)およびT2強調画像(T2w),TOF-MRA,三次元T1wおよびT2wを撮像した.その後,UTEイメージング,CESTイメージング,4D-flowイメージング,拡散強調画像のデータを取得した.UTEイメージングは,当初データ取得を行っていたが撮像時間が延長する場合があったので,取得に至らない症例もあった.CESTイメージングは,当初はB1強度の値を3種類撮像していたが,5症例でした後に検討し1.0 micro Tに決定しその後検討を行った.症例数は,全体で30症例のデータを収集することができた.このうち11症例で検討したところ,3.5 ppmでの平均APTとNOEの間に有意差がなかった.この結果は,CESTプラークイメージングをAPTとNOEを区別して評価する必要があることを示していることが判明した. 臨床データ収集と並行して行った平成30年度に作成したCEST評価ファントムをキャリブレーションに使用したB1強度補正するプログラムの開発は,Z-スペクトルの半値幅(FWHM)で規格化し,各周波数の定量性を向上する補正手法を開発することができた.
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