研究課題/領域番号 |
17K09066
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
前田 幸人 香川大学, 医学部附属病院, 技術職員 (10763336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フラクタル解析 / 濃度フラクタル / フラクタル次元 / メチオニン / PET / 画像再構成 / 脳腫瘍 / 悪性度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳PET検査において、4つの画像再構成アルゴリズムOSEM法、OSEM法にpoint spread function (PSF) 分解能補正のみを組み込んだ方法(OSEM+PSF法)、OSEM法にTOFのみを組み込んだ方法(OSEM+TOF法)、OSEM法にPSF分解能補正とTOFを組み込んだ方法(OSEM+PSF+TOF法)がフラクタル次元に与える影響を明らかにすることである。平成30年度は脳メチオニンPETにおいて、4つの再構成アルゴリズム全てにおいて脳腫瘍の悪性度が高くなるほどフラクタル次元は小さくなったことを報告した。令和元年度(平成31年度)は、脳メチオニンPETにおいて、4つの画像再構成アルゴリズムから算出したフラクタル次元において、悪性度分類が可能か統計学的検証を行った。臨床データの対象は、WHOの悪性度がGradeⅡ:5名、GradeⅢ:17名、GradeⅣ:18名であった。統計学的解析には、Kruskal-Wallis検定を用い、すべてのペアごとの比較にはDann-Bonferroniを用いた。OSEM+TOF法において、GradeⅢとGradeⅣに統計学的な差が生じたが、GradeⅡとGradeⅢ、GradeⅡとGradeⅣには優位な差が生じなかった。その他の画像再構成アルゴリズムにおいては、すべてのGradeの組み合わせにおいて、優位な差が生じなかった。これらの結果から、画像再構成アルゴリズムにOSEM+TOF法を用いることで、GradeⅢとGradeⅣの診断にフラクタル解析の有用性が示されたと考えられた。しかしながら、GradeⅡとGradeⅢ、GradeⅡとGradeⅣの評価には有用性はなかった。OSEM法、OSEM+PSF法、PSEM+PSF+TOF法を用いた場合は、フラクタル解析の有用性がないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗について、初年度は模擬人体を用いた基礎的な検討を行い、次年度は臨床データの解析を行った。しかしながら、脳腫瘍の悪性度GradeⅡの症例が予定より少ないため、GradeⅡのフラクタル次元の信頼性に疑問があると考えている。GradeⅡの症例が少ないことにより、研究の進捗が遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において、脳腫瘍のWHO分類のGradeⅡの症例が5例と少なかったため、さらにデータの蓄積を行いたいと考えている。再構成法については、GradeⅢとGradeⅣの評価において、OSEM+TOF法の有用性が示唆されたため、ひとつの結果として報告したいと考えている。本解析結果においては数例の外れ値も存在したため、外れ値についての検討も行う必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費及び物品費が予定よりも低価格であったため,次年度使用額としました.使用計画としては,結果報告のための英文校正、投稿料に使用する。
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