研究課題/領域番号 |
17K09071
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
奥村 雅彦 近畿大学, 医学部, 技師 (20639306)
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研究分担者 |
門前 一 近畿大学, 医学部, 准教授 (10611593)
松本 賢治 近畿大学, 医学部附属病院, 技術職員 (30742374)
花岡 宏平 近畿大学, 医学部附属病院, 技師 (80772657)
霜村 康平 京都医療科学大学, 医療科学部, 助教 (10638274)
田村 命 近畿大学, 医学部附属病院, 技師 (60810968)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線低吸収素材 / カードボンバー / 放射線治療枕用アダプター / 放射線低吸収カウチ / 放射線治療用固定具 / 三次元水ファントム用測定台 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線治療における低吸収素材の開発である。以下の4項目について検討を行った。 1)低吸収素材を用いた放射線治療用のベッドの評価:ポリカーボネートとグラスファイバーを用いた放射線低吸収材質のカウチを製作し、高エネルギーX線の 減弱および接地面の線量を測定しその有用性を検討した。比較対象は、カーボン製のカウチとした。製作した低吸収素材のカウチは、カーボン製のカウチに比べ 低吸収であり、接地面の線量を低下することが可能であった。また、剛性もJIS規格をクリアするものであり臨床使用が実現可能なものであった。研究結果は、 学会発表を行い、研究論文にまとめた。また、新たにドーナツ型リニアックのコミッッショニング用の測定台を同素材で作成した。測定した三次元データの結果を現在論文にまとめている段階である。 2)低吸収素材を用いた頭頸部治療枕用アダプターの開発:従来のアクリル性アダプターに比べ、新たに開発した低吸収素材のアダプターは、線量減弱において 約3%の改善がみられた。製作したアダプターは、発泡枕との接合部も従来品と比べて掘りの深い設計としており、実務においても高い固定精度が実現可能であ る。測定結果をまとめ学会発表を行った。まとめた論文は、日本放射線技術学会雑誌に掲載された。 3)低吸収素材を用いた体幹部定位照射用固定具の開発:体幹部固定具を低吸収素材で幾何学的な条件を反映させた試作品を製作した。 4)放射線治療用カーボンバーの有用性:トモセラピーを用いた放射線治療におけるカーボンバーの有用性を検討した。トモセラピーにおいて放射線治療時の従 来の固定用バーに比べ、カーボンバーは約3%の線量低下の改善が可能であるとの結果が得られた。論文を執筆し、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)低吸収素材を用いた放射線治療用のベッドを作成し、皮膚線量の低減およびX線の減弱の低減が可能であること証明した。研究結果は、学会発表を行い、研究論文が受理された。また、同材質を使用した3次元水ファントムの測定台の作成に成功した。その測定台を用いて得られたデータは来年度発表予定である。また、論文の執筆中である。 2)低吸収素材を用いた頭頸部治療枕用アダプターの開発:新たに開発した低吸収素材のアダプターを試作し、その物理特性を評価した。結果を国際学会にて発表した。また、論文にまとめ受理された。 3)低吸収素材を用いた体幹部定位照射用固定具の開発:体幹部用固定具を低吸収素材を用い試作品の作成を行った。現在、製作の最終段階である。 4)放射線治療用カーボンバーの有用性:カーボンバーの有用性を評価した。また結果をまとめた学術論文が受理された。カーボンバーを用いた治療計画の新たな知見が得られたため、論文の執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
以下の4項目の研究テーマについての今後の推進方策を示す。 1)低吸収素材を用いた放射線治療用のベッドの評価:実務で使用可能なカウチ形状の検討を行う。 2)低吸収素材を用いた頭頸部治療枕用アダプターの開発:市販のアダプターと同等の品質で製品化できるように検討する。 3)低吸収素材を用いた体幹部定位照射用固定具の開発:試作品を完成させる。臨床使用における有用性の検討をおこない、結果を学術論文にまとめる。 4)放射線治療用カーボンバーの有用性:円筒型リニアックにおけるカーボンバーの有用性をまとめ学術発表ならびに論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも、物品費及び海外発表にかかる費用が少なかったため、繰越し金の発生につながった。
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